2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15710073
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桑原 俊介 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (40359550)
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Keywords | 分子モーター / 分子機械 / シス-トランス光異性化 / 熱異性化の動力学 / 活性化エネルギー / 速度定数 / 光定常状態 |
Research Abstract |
本研究室で開発した光動力キラル分子モーターは、熱異性化と二重結合のシストランス光異性化により単一方向の回転を起こすことがわかっている。しかし、熱異性化における反応速度が遅いことに改良のの余地が残されていた。本年度の研究においては、キラル分子モーターの新規五員環型モデル(2R^*,2'R^*)-(P^*,P^*)-trans-1を開発することに成功した。(2R^*,2'R^*)-(P^*,P^*)-trans-1は、従来の六員環型モデルと比べて、熱異性化の活性化エネルギーの低下により反応速度が大きく向上することが分かった。 安定シス体(2R^*,2'R^*)-(P^*,P^*)-cis-3のCD_2Cl_2溶液を低温下、高圧水銀ランプを用いて光照射した。NMRスペクトル(400MHz,-60℃)で反応を追跡したところ、13分程度で不安定トランス体(2^R*,2'R^*)-(M^*,M^*)-trans-4との光平衡(cis-3:trans-4=20:80)に達した。また、生成した不安定トランス体(2R^*,2'R^*)-(M^*,M^*)-trans-4は-10℃でも容易に安定トランス体(2R^*,2'R^*)-(P^*,P^*)-trans-1に異性化した。この熱異性化の動力学を明らかにするために、不安定トランス体(2R^*,2'R^*)-(M^*,M^*)-trans-4の変化を、-25〜-10℃に設定したNMRで追跡した。ピーク強度の変化から、速度定数と半減期を求め、その温度変化のArrheniusとEyringプロットから活性化エネルギーE_a=17.1kcal/mol、活性化エンタルピーΔH^‡=16.5kcal/mol、活性化エントロピーΔE^‡=-9.23cal/Kmolを得た。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Masashi Kosaka, Takeo Sugito, Yusuke Kasai, Shunsuke Kuwahara, Masataka Watanabe, Nobuyuki Harada, Gabriel E. Job, Alex Shvet, William H.Pirkle: "Enantioresolution and Absolute Configurations of Chiral meta-Substituted Diphenylmethanols as Determined by X-ray Crystallographic and ^1H NMR Anisotropy Methods"Chirality. 15・4. 324-328 (2003)