2005 Fiscal Year Annual Research Report
外界の影響を受けるナノ構造体の化学ポテンシャルのトンネル分光による研究
Project/Area Number |
15710074
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大木 泰造 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (90359571)
|
Keywords | ナノクラスター / 単一電子帯電効果 / 化学ポテンシャル / トンネル分光 / 走査型トンネル顕微鏡 / サイズ効果 / NiAl(110) / Al_2O_3超薄膜 |
Research Abstract |
直径が1nm程度の金属クラスターが外部電極と弱く結ばれた系(両者が量子抵抗より充分大きな抵抗を持つトンネルバリアで結合している系)において、その化学ポテンシャルが外部環境でどのような変化をするか、またその結果電極のフェルミレベルとの相対的な位置関係はどのようになるかを知ることを目的として系統的な研究を行っている。前年度まではチオール分子、ジチオール分子からなる自己組織化単分子膜の上に金を蒸着することにより得られる、金クラスター/単分子膜/金(111)基板という構造を作り、走査トンネル顕微鏡を用いてクラスターのトンネル分光を行ってきた。しかしこの方法では金のクラスターしか作れない(下地の金属とクラスターがともに金である)ことや、クラスターや分子が分光中に動き測定に影響を与える等の問題があった。そこで今年度はNiAl(110)基板上に成長するAl_2O_3超薄膜を上の単分子膜/金(111)基板に置き換えることが可能であるか、またその上にクラスターを成長させて化学ポテンシャルの測定を行うことが可能であるかどうかの検証をおこなった。 Al_2O_3超薄膜/NiAl(110)基板上に銀、銅の蒸着を行ったところ、1nmクラスのクラスターを主にドメイン境界上に(クラスター間の相互作用が問題にならない程度に分散して)成長させることが可能であることを確認した。また銅クラスターについてトンネル分光を行ったところAl_2O_3超薄膜は、抵抗〜500MΩ、比誘電率3〜4程度のトンネルバリアとして働くこと(直径1.3nm程度のクラスターの場合)を確認した。クラスターのサイズは蒸着量により制御可能であり、さらにトンネル分光も比較的安定に得ることができた。プレリミナリーな実験において、銅クラスターの化学ポテンシャルの位置がNiAl(110)のフェルミレベルを中心として分布していることが確認された。
|
Research Products
(3 results)