2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15710081
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
曾根 逸人 群馬大学, 工学部, 助手 (80344927)
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Keywords | 自己組織化 / ナノワイヤ / 走査トンネル顕微鏡 / エルビウムシリサイド / 酸素吸着過程 |
Research Abstract |
本研究は、自己組織化により形成されたナノワイヤを用いたデバイスの研究開発を目標としている。本年度は、ナノワイヤの作製およびその評価を行っための装置準備を行った。ナノワイヤは、超高真空チャンバ内(10^<-11> Torrオーダー)でe-ビーム蒸着源を用いて原料元素を単結晶Si基板上に堆積した後、加熱して作製する。そこで、蒸着源にミニe-ビームエバポレーター(EGN1:オックスフォードアプライドリサーチ社製)を選定し、現有設備の起高真空走査トンネル顕微鏡(STM)に適合するように設計改良後に購入した。設計改良に時間を要したため、まだ取り付けが完了していない。また蒸着元素材料には、純度99.9%のエルビウム(Er)をロッド状に特注加工したものを入手した。以上の理由でナノワイヤの作製まで至らなかったことから、Si表面へErを蒸着するための予備実験として、超高真空中への酸素導入による、Si表面への酸素原子の吸着過程についてSTMを使って研究した。その結果、酸素暴露量を0〜0.4L(1L=1.0×10^<-6> Torr・s)の範囲で増加させた時、Si表面に酸素吸着サイトが増加する過程を原子分解能で動的に観察できた。しかし、暴露量0.5L以上では、STM像が得られなかった。これは、酸化が進んだために、試料表面および探針先端が絶縁状態となり、探針-試料間にトンネル電流が流れなくなったことが原因である。Erを蒸着させる場合には、Si基板表面に形成されるエルビウムシリサイド(Er_2Si)は導体なので、暴露量を増やしてもSTMによる観察に支障はないと考えている。しかし、デバイス化の研究段階で、SiO_2絶縁膜を形成する必要がある。この時には、今回の酸化実験と同様にSTM像が観察できなくなる問題が予想されるので、原子間力顕微鏡(現有設備に搭載済み)を使用するなどの対策を考えている。
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