2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15710084
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡嶋 孝治 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (70280998)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 1分子計測 / フォーススペクトロスコピー / ナノマニピュレーション / ナノテクノロジー / バイオナノテクノロジー / 粘弾性 |
Research Abstract |
本研究では、原子間力顕微鏡(AFM)の高い時間空間分解能を最大限に活用し、生体一分子に働く張力の粘弾性挙動を計測する基礎技術の開発が目的である。1分子の外部環境依存性、および広帯域計測に不可欠な長時間計測を実現するためには、装置ドリフトの影響を抑える手法の開発が必要不可欠である。ミリ秒の帯域の1分子計測においても、AFM装置に不可避に存在するドリフトが計測精度に与える影響が大きいことが分かった。そこで、AFM探針と基板との間のドリフトを補償する技術の開発を行った。本方法は、自作の延伸軸補正用コントローラを用いて、分子と探針との間の相対位置情報を取得し、分子が基板と接触している点(剥がし点)と探針の位置とを結ぶ直線が基板面に対して常に垂直になるように制御する。これにより、装置のドリフトを補正した長時間延伸が可能となった。 一方で、生体分子の粘弾性には、分子内の相互作用に起因するものと分子外の相互作用によるものに分けられるが、特に分子外の相互作用を1分子レベルで計測する手法は確立されていない。そこで、分子外の非特異的相互作用を計測する手法を考案した。本方法は、高分子ゲルにターゲットなる高分子鎖を埋め込み、その埋め込んだ高分子をゲルから引っ張り出すときに生じる力から、分子外相互作用を測定する。本方法を用いて、摩擦力やトポロジカルな相互作用を1分子レベルで計測することが可能となった。さらに、生体分子の粘弾性を固体基板上ではなく、細胞表面で測定することを念頭として、細胞表面を精密に計測する手法を考案し、その有効性を確証した。これらの技術を特許出願することにより、1分子粘弾性計測法の基幹技術を構築した。
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Research Products
(8 results)