2003 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子機械の構造揺らぎと機能発現のメカニズムの解明
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15710088
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 雅祥 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10346075)
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Keywords | 分子モーター / キネシン / 構造揺らぎ / 1分子計測 / 温度変調 |
Research Abstract |
生体分子モーターは、ATPの加水分解反応により得られた化学エネルギーを利用しながら、滑り運動や力発生を行い、生体組織の動力源として重要な役割を担っている。分子モーターは、周囲の熱雑音にさらされながらも、きわめて効率よく駆動しており、その動作メカニズムは未だに解明されていない。研究代表者は、周囲を取り巻く熱雑音を変化させることで、分子モーターの構造揺らぎに変調を加える観測システムを開発し、構造揺らぎと運動機能との関係を明らかにする研究に取り組んだ。 (1)レーザー光による温度制御装置の開発。 全反射型1分子蛍光観測顕微鏡に、近赤外レーザーを用いて局所的な温度変化システムを構築した。ガラス表面に固定した金微粒子の凝集体にレーザー光を照射したところ、ほぼ同心円上に〜1℃/mm程度の温度勾配が発生させることに成功した(凝集体近傍では、室温+30℃)。凝集体へのレーザー光の照射を止めるとすぐに温度勾配は消滅し、パルス的に温度を変化させることに成功した。 (2)キネシンの滑り運動の1分子計測と温度依存性 上記の温度可変型1分子イメージング顕微鏡を用いて、微小管にそって滑り運動を行うキネシン1分子の動きを観測した。レーザー光の照射により、温度を10℃上昇させる毎に、その滑り速度は2倍ずつ上昇した。 来年度は、変性剤などを溶液中に添加し温度変化により、構造の揺らぎを変調させて、分子モーターの滑り運動と構造揺らぎの相関関係を明らかにする研究に取り組む。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nishiyama M., Higuchi H., Ishii Y., Taniguchi Y., Yanagida T.: "Single Molecule Processes on the stepwise movement of ATP-driven molecular motors"Biosystems. 71・1-2. 145-156 (2003)
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[Publications] Nishiyama M., Watanabe TM., Iwane AH., Wazawa T., Ishii Y., Yanagida T., Terazima M.: "Temperature dependence of sliding movement of single molecular motors"XXlst International Conference on Photochemistry. 44・2. 460 (2003)
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[Publications] Taniguchi Y., Nishiyama M., Ishii Y., Yanagida T.: "Forward and backward movements of single kinesin moelcules described by free energy landscape"Biophysical Journal. 86・1. 410A (2004)