2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15710097
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
大竹 晃浩 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノマテリアル研究所, 主任研究員 (10343873)
|
Keywords | 表面再配列構造 / ガリウムヒ素 / 量子ドット / 走査トンネル顕微鏡 / ミスフィット転位 |
Research Abstract |
平成15年度は、量子ドットの配列化に向けて、以下の二つの方法でテンプレートの作製を行った。 1.基板表面構造を利用する方法:表面の原子配列を利用して量子ドットを配列するために、GaAs(001)-(4x6)構造を作製する方法を確立し、その原子配列を評価した。まずGaAs(001)-(2x6)/(3x6)表面を作製し、その上に約500℃でGaを0.2ML蒸着することによって(4x6)周期を示す構造が得られることを反射高速電子回折および反射率差分光法によって確認した。この表面上においては、数個のGa原子から構成されるクラスターが(4x6)周期で並ぶ構造が提唱されていたが、我々の走査トンネル顕微鏡観察からは、(2x6)/(3x6)表面において観察される3倍周期の構造が4倍周期へと変調されただけの構造が確認され、クラスターが配列した構造は見られなかった。 次に、これに代わる方法として、As安定化面であるGaAs(001)-c(4x4)の利用も検討した。この表面は通常の量子ドット作製にもっと広く用いられ、Ga-Asダイマーが単位胞あたり3つ存在する構造モデルが提唱されている。ところが、隣接するユニットセル間ではGa-Asダイマーの方向は揃っておらず、サイズの小さいドットを配列させる場合には、不都合が生じる可能性が高い。そこで、Ga-Asダイマー構造をアモルファスAsで完全に覆った後にAs雰囲気中で加熱することにより、理論的に予測されているAs-Asダイマー構造を作製することを突き止めた。この構造は対称なAs-Asダイマーから構成されるため、原子レベルでの欠陥が入る余地が少ないが、作製過程で表面のラフネスが増加するという短所がある。これの改善が次年度の課題である。 2.基板表面上の幾何学構造を利用する方法:GaAs(111)A表面上に数原子層のInAs膜を成長させ、これを基板として用いることを検討した。この系では界面で形成されるミスフィット転位のネットワークに起因して表面に幾何学的な凹凸が出現することが知られている。本研究では、この凹凸を利用して量子ドットの配列を行うことを目的としている。本年度は、GaAs(111)A清浄表面作製方法を確立し、その上へInAs膜を成長させることにより転位の二次元ネットワークの作製に成功した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] A.Ohtake, N.Koguchi: "Two types of structures for the GaAs(001)-c(4x4) surface"Applied Physics Letters. 83・25. 5193-5195 (2003)
-
[Publications] A.Ohtake, S.Tsukamoto, M.Pristovsek, N.Koguchi: "Structure of Ga-stabilized GaAs(001) surfaces at high temperatures"Applied Surface Science. 212-213. 146-150 (2003)
-
[Publications] A.Ohtake, J.Nakamura, N.Koguchi, A.Natori: "Gad-As dimer structure for the GaAs(001)-c(4x4) surface"Surface Science. (印刷中). (2004)
-
[Publications] 大竹晃浩: "RHEEDによるGaAs表面構造の研究"表面科学. 24. 136 (2003)
-
[Publications] S.Tsukamoto, M.Pristovsek, A.Ohtake, B.G.Orr, G.R.Bell, T.Ohno, N.Koguchi: "Ga-rich GaAs(001) surfaces observed by STM during high-temperature annealing in MBE"Journal of Crystal Growth. 251. 46-50 (2003)
-
[Publications] M.Pristovesk, S.Tsukamoto, A.Ohtake, N.Koguchi, B.G.Orr, W.G.Schmidt, J.Bernholc: "Gallium-rich reconstructions on GaAs(001)"Physica status solidi (b). 240・1. 91-98 (2003)