2004 Fiscal Year Annual Research Report
固体基板上のナノパターンを鋳型とする金属酸化物ナノ中空構造の合成と形状デザイン
Project/Area Number |
15710099
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤川 茂紀 独立行政法人理化学研究所, トポケミカルデザイン研究チーム, 研究員 (60333332)
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Keywords | ナノコピー / 中空ナノ構造体 / 形状デザイン / 金属酸化物超薄膜 / 表面ゾルゲル法 / チタニア超薄膜 / シリカ超薄膜 / ポジティブコピー |
Research Abstract |
マイクロリアクターなどへ応用が期待されるナノサイズの中空構造体は、主に鋳型合成法により作成される。中空構造体の機能は、その形状・サイズに大きく依存するため、形状デザインは極めて重要な検討課題である。しかしながら従来法では、複雑な構造をもつナノ鋳型を、溶液中で直接作成することは困難であっため、形状設計に大きな制約があった。 そこで本研究では鋳型として基板上に作成されたナノ構造に着目しそれを薄膜で被覆後(surface covering)、鋳型除去によって中空構造(構造のpositive copy)を作成するというアプローチを検討した。 薄膜形成手法として、表面ゾルゲル法を採用した。その結果、基板上に配列したナノ粒子をチタニア超薄膜で被覆後、鋳型粒子の除去にナノ中空構造作成に成功した。固体基板上で2次元あるいは3次元的にヘキサゴナル配列した粒子を用いた場合でも、その配列を反映した、中空ナノ構造体が形成された。さらにリソグラフィーで作成された縦400nm,横200nm〜1.5μmの断面を持つ矩形ナノライン構造や、直径1.5μm〜500nm、高さ400nmの穴構造を鋳型とした場合でも、その外形を忠実に反映した、中空チタニア構造体に成功した。シェル材料として酸化シリコンを用いた場合でも、同じ結果であった。 以上の結果より、固体基板上に形成されたナノ鋳型を利用することで、その外形に従った中空構造体の作成が可能となった。球対称以外のより対称性の低い構造体でも、鋳型構造を反映した中空構造体が作成された。これは金属酸化物ナノ薄膜の酸化物ネットワークの高い構造適合性と、中空構造体保持のための自己支持性によるものと考えられる。これらの結果を踏まえると、より幅広いナノ構造を鋳型として利用可能である。よって本研究で検討したアプローチは、一般的なナノ中空構造体の形状デザイン手法となることが明らかとなった。
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