2003 Fiscal Year Annual Research Report
自己形成メサ上に作製した単一量子ドット中の多重励起子からの相関光子対発生
Project/Area Number |
15710100
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
熊野 英和 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (70292042)
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Keywords | 単一光子光源 / ワイドバンドギャップ半導体 / 混晶半導体局在準位 / 自己形成メサ構造 / 量子情報科学 / 非古典光発生 |
Research Abstract |
これまで半導体零次元構造を利用して制御された光子(対)を発生させる研究はいくつかあるが、対象となる系はほとんどInAsやInGaAsに集中している。単一光子や相関光子対発生は励起子間相互作用が強い系においてより顕著に発現すると期待され、当該研究は、励起子間束縛エネルギーのより大きいZnCdSやCdSといったワイドバンドギャップ半導体を研究対象として単一光子(対)発生を目的とするものである。本研究では、ワイドバンドギャップ半導体の小さな励起子半径による局在のしやすさを利用し、零次元準位として混晶半導体のポテンシャル揺らぎにより形成される局在準位に束縛された励起子を利用した。通常、混晶半導体は不均一性が大きく、ブロードな発光しか示さないが、自己形成メサ構造を選択成長により形成し、光学特性に寄与する領域を絞り込むことによって原子様のシャープで離散的な発光ラインを観測することに成功した。混晶半導体中に形成される局在準位を零次元準位として利用することが出来れば、平均組成の自由度が導入可能となり、光共振器との結合を考える上で有利となる。また、量子ドットの場合に比べて面方位による異方性が低減されるのではないかと期待しており、円偏波光の保存が可能な系としても注目される。 混晶半導体を用いてこのような原子様準位が形成されるメカニズムについての検討を行った。結果として、局在準位を形成するポテンシャル障壁間の結合を増大させ、より高速な励起子拡散を促進することにより空間的に孤立した発光センターへの効率的な励起子分布が形成されることを確認した。 また、顕微時間分解分光系を設計し、単一の局在準位への励起子分布の形成・発光寿命等、励起子ダイナミクスの検討を行った。その結果、光パルス励起後約40ps程度で局在励起子発光が観測され、高速かつ効率的な局在準位への励起子分布生成が確認された。新規な原子様準位として、高い潜在性を有するものである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Kumano, Y.Hitaka, I.Suemune: "Emissions from single localized states observed in ZnCdS ternary alloy mesa structures"Applied Physics Letters. 82. 4277-4279 (2003)
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[Publications] I.Suemune, K.Yoshida, H.Kumano, et al.: "II-VI quantum dots grown by MOVPE"J.Cryst.Growth. 248. 301-309 (2003)
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[Publications] H.Kumano, Y.Hitaka, I.Suemune: "Dynamical properties of atom-like emissions from single localized states in ZnCdS ternary mesa-shaped structures"Physica status solidi(c). (in press). (2004)