2004 Fiscal Year Annual Research Report
自己形成メサ上に作製した単一量子ドット中の多重励起子からの相関光子対発生
Project/Area Number |
15710100
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
熊野 英和 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (70292042)
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Keywords | 単一光子源 / 量子暗号通信 / 光子相関測定 / アンチバンチング / 相関光子対発生 / 単一量子ドット |
Research Abstract |
現在、通信の秘匿性の重要性が増し、量子力学の原理に基づいて安全が保証される量子暗号通信の実現が強く求められている。量子暗号通信用の光源として、現在は減衰させたレーザー光が利用されているが、光子数の揺らぎのためビットレートを高くできない問題がある。そこで、光子数状態と呼ばれる光子数揺らぎのない半導体光源の作製を検討した。光子数状態の発生には、離散的状態密度の存在が必要であり、安定性、加工精度、集積性の観点から最適であると判断した半導体零次元系を用いて研究を行った。半導体材料としてはSi-APD単一光子検出器との波長整合の観点からInAlAsを選択し、自己組織化量子ドットを成長後、微細加工技術によりメサ加工を施した。メサ領域に存在する量子ドットからの発光を顕微光学系に入射させたところ、単一量子ドットに起因する半値全幅約200μeV程度の鋭いピークが観測され、その起源を時間分解分光による強度減衰、また励起光強度依存性により検討したところ、単一量子ドット内に存在する励起子、あるいは励起子分子起源の発光線であると確認した。 この内の一本の発光線、例えば励起子発光による光子数状態光の発生、更には単一光子発生の検証実験を、HBT setupと呼ばれる強度の二次相関関数を測定する光学系を用いて行った。結果として、励起子発光がアンチバンチングと呼ばれる状態を示すことを確認した。これは、単一量子ドットから生成した光子が光子数状態と呼ばれる光子数の確定した状態にあり、かつその光子数が1であることを示しており、本研究により盗聴の対象となる光子の複数個発生が強く抑制されていることが示された。また、引き続き励起子分子発光線と励起子発光線を用いて光子相関測定を行った。結果、単一量子ドット内の励起子分子発光→励起子発光→基底状態という連続的な発光再結合プロセスによる相関光子対の発生が明瞭に示された。
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Research Products
(3 results)