Research Abstract |
1.2004年豪雨災害の特徴解析 2004年には豪雨災害が多発したが,そのうち,新潟・福島豪雨(7/13),福井豪雨(7/18),台風15号(8/17-18),台風23号(10/20-21)に関して,現地調査,資料解析を行った.多雨域よりむしろ最近25年間最大降水量が記録された地域で被害が多発したこと,水害による死者が1982年以来最大であったこと,適切な避難先が選択されなかったことによる被害が生じたことなどの課題を抽出した.これらの成果は災害後1週間以内にweb公開し,数万ページビュー/日の参照があり,報道機関からも多くの問い合わせを受けた. 2.「豪雨空白域」に関する検討 新潟豪雨や福井豪雨は,近年豪雨を経験していなかった地域での災害であった.このようないわば豪雨空白域は豪雨災害に対する警戒意識が低下しているおそれがあり,このような地域を抽出し,警告する手法を開発する必要性を感じたため,暖候期降水量と極値降水量の関係から豪雨空白域を抽出する手法を提案した. 3.台風23号災害時の死者の死因に関する検討 台風23号災害時には全国で96名の死者が生じたが,これは1983年島根豪雨以後最大の規模であった.この災害による死者の死亡状況に関する解析を行い,近年あまり見られなかった洪水による死者が土砂災害による死者を上回ったこと,洪水による死者は高齢者とは限らないことを指摘した.また,その多くは運転中や歩行中など移動中の遭難であり,移動中には青壮年でもいわば災害弱者となりうる危険性があるという問題を指摘した. 4.豪雨時の自治体の対応に関する調査 2004年の豪雨災害時および災害後の被災,非被災自治体における災害対応状況についての調査を実施した.この調査は,7月の新潟豪雨後に着手したが,その後豪雨災害が連続したため,調査対象地域や調査内容を順次変更し,実施を順延した.最終的には豪雨による災害がほぼ終了した11月に調査票の配布を行ったため,現時点では調査票回収・集計作業の途中である.
|