2004 Fiscal Year Annual Research Report
現行制度での最適な選挙区割の導出とより公平な選挙区割画定方式の提案
Project/Area Number |
15710119
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
根本 俊男 文教大学, 情報学部, 助教授 (40286026)
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Keywords | 区割画定問題 / 選挙制度設計 / 小選挙区 / 組合せ最適化問題 / 定数配分問題 / オペレーションズ・リサーチ / 一票の重みの格差 |
Research Abstract |
本研究では小選挙区制度設計の中で一票の重みの格差に大きな影響を持つ区割に注目し,より公平な区割画定方式の提案を目指し研究を進めている.本研究の主な目的は以下の3つである. 1.区割画定問題の適切なモデル化 2.区割問題に対する効率的解法の構築 3.定数配分を含めたより公平な小選挙区区割画定方式のデザイン 計画2年目の今年度は,上記目標全体にわたり研究を進め,主に以下の3つの成果を得た. 成果1.一票の重みの格差の限界(限界格差)の観点から定数配分法を分析: 実際の格差が2.06倍で,限界格差が1.97倍である現行の小選挙区区割画定方式に関して,何が格差是正を妨げているのかについて明らかにした.その結果,人口比例に沿った定数配分方式では1.75倍が縮小の限界で,大幅な改善は望めないことを明らかにした. 成果2.人口に比例しない定数配分での一票の重みの格差の限界: 定数配分では人口比例が原則だが,たとえそれに反しどのような定数配分を行ったとしてもやはり一票の重みの格差は1.72倍が限界であることを明らかにした.つまり,定数配分方式をどのように変更しても格差是正の抜本改革にはならないことを明らかにした. 成果3.より公平な制度設計のための必要条件: より公平な小選挙区制度設計のためには,議員定数の見直し,市区郡分割方法の確立,都道府県を跨ぐ選挙区の設定への緩和などが必要であることを明らかにした. これらの結果は,学術雑誌「選挙研究」および「システム/制御/情報」への掲載により,また,日本OR学会,日本選挙学会,グラフ論シンポジウム等での口頭発表により公表された.
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Research Products
(2 results)