2003 Fiscal Year Annual Research Report
高密度強震データを活用した震源・波動伝播過程の不均質性の研究と強震動予測への応用
Project/Area Number |
15710137
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
筧 楽麿 神戸大学, 理学部, 助手 (30294193)
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Keywords | 強震動 / 震源過程 / 減衰 / 2001年芸予地震 / 2003年宮城県北部地震 / スラブ内地震 / 火山フロン / 高密度強震データ |
Research Abstract |
フィリピン海プレート内で発生したスラブ内地震である2001年芸予地震(Mw=6.8)の詳細な震源過程を,高密度強震観測網で観測された強震記録の波形インバージョンにより推定した。震源近傍の14観測点の0.1〜0.5Hzの速度波形をデータとして使用した。震源断層面として北から南に向かうにつれ,徐々にstrikeとdipが変化する曲がった断層モデルを仮定した。表層の堆積層が地震波形に与える影響を余震の波形のモデリングにより評価し,適切な表層を含む水平成層構造を求め,Green関数を理論的に計算した。波形インバージョンにより得られた断層面上のすべり分布は非常に不均質であった。破壊域はスラブの海洋性地殻と海洋性マントルの両方に及んだが,特に海洋性地殻内ですべりが大きく,最大すべり(2.4m)も海洋性地殻内で生じた。これは,海洋性地殻が海洋性マントルに比べ著しく剛性率が低い(=変形しやすい)ことを考えれば,破壊の動力学の見地から納得のゆく結果である。すなわち,2001年芸予地震の破壊過程は,震源域の媒質の不均質性に大きく影響されたと考えられる。 また,島弧下の構造が強震動の空間分布に与える影響を評価するため,2003年5月に北米プレート内で発生したスラブ内地震である宮城県北部地震(Mw=7.0)の強震データのpreliminaryな解析を行った。東北地方の脊梁地域には第4紀火山が線状に分布するが,この火山フロントを境に,前弧側と背弧側で観測された強震動の周波数成分が著しく異なることを見出した。具体的には,背弧側の観測点の強震記録では高周波成分の減衰が著しかった。これは,火山フロント下の低Q値(=減衰大)の領域を地震波が通る際に,高周波成分が減衰することによると考えられる。
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Research Products
(1 results)