2004 Fiscal Year Annual Research Report
体系的RNAi法による線虫胚生致死遺伝子の孵化後発生における機能の解析
Project/Area Number |
15710145
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
飯田 直子 独立行政法人理化学研究所, 発生ゲノミクス研究チーム, 研究員 (40360557)
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Keywords | RNAi / 線虫 / 発生 / 表現型 / ゲノム機能解析 |
Research Abstract |
本研究では線虫の胚性致死遺伝子について、孵化後特異的に遺伝子機能破壊をするL1-soaking RNAiを網羅的に行い、胚性致死遺伝子の孵化後の機能を明らかにすることを目的としている。これらの結果から、発生プログラムにおける遺伝子の複数の機能と使い分けについて理解を進められると考えている。 申請者の属する研究室では、非重複のcDNAセット(国立遺伝研・小原雄治教授により供与)をRNA合成の鋳型として用い、四齢幼虫(L4)に対するSoaking RNAi法によって体系的遺伝子機能破壊を行ってきた。16年度までに約6000個の遺伝子についてL4RNAiを行った結果、約14%がF1世代で胚性致死であった。本研究では、この胚性致死を示した遺伝子についてL1幼虫に対してRNAiを行い、孵化後発生における表現型を微分干渉顕微鏡で観察した。約300個の遺伝子について孵化後発生の表現型解析を行った。その結果、半数以上の遺伝子が生殖細胞形成、陰門形成の異常や成長異常などの表現型を示した。これらのことから、必須遺伝子の多くが発生過程において複数の機能を持つことが分かった。 大量の表現型情報の処理のため、表現型の体系的記述法を確立した。孵化後発生の表現型項目を設定し、各表現型項目を「present」「absent」「not applicable」のスコアで記述した。複数の項目の組み合わせで記述した表現型プロファイルはバイナリーデータに変換し、コンピュータを用いた遺伝子の機能的分類を行った。胚発生表現型と孵化後発生表現型の組み合わせを比較したところ、様々な組み合わせが得られた。発生における複雑な遺伝子の使い分けが考えられた。胚発生と孵化後発生の両方で同じ表現型を示した遺伝子群もあり、それらは両方の発生時期で同様に機能していると考えられた。また、これらの表現型データを用いた遺伝子検索も可能である。
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