2003 Fiscal Year Annual Research Report
SINE配列を用いたコムギ近縁野生種保存系統の遺伝資源としての評価
Project/Area Number |
15710174
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安井 康夫 京都大学, 農学研究科, 助手 (70293917)
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Keywords | SINE / レトロエレメント / Au element / 遺伝資源 / タルホコムギ |
Research Abstract |
本年度は、Au elementを用いたコムギ新規分子マーカーの作成を目指し、コムギ(T.aestivumcv 'Chinese Spring')とAe. squarrosaからInverse PCR法を用いてAu elementのクローニングを行った。Au elementの隣接領域の塩基配列をもとに挿入部位の特異性を調査した。さらにゲノムの特定のAu elementを増幅するPCRプライマーセットを作成し、ナリ-テトラソミック系統を用いてAu elementの座乗染色体を決定した。また、Au elementを用いてタルホコムギの種内変異を明らかにすることができた。 1.Au elementの座乗染色体 これまでにナリ-テトラソミック系統を用いて34個のAu elementの座乗染色体を決定することが出来た。1B、2B、4B、6Dを除く17染色体をSINEマーカーで識別可能となった。 2.Au elementの標的塩基配列 96個のAu elementの挿入部位を調査した結果、5'-T/A3'という特異性が明らかになった('/'は5'-nicking siteを示す)。これは、ヒトAlu(5'-(Y)_n/(R)_n-3')Brassica属S1(5'-Y/AAANNNG-3')といった他のSINEの標的部位と類似のものであり、Au elementが他のSINE配列と同様の機構でホストゲノムに挿入されていると考えられる。 3.Au elementのマーカーとしての利用 タルホコムギ85系統を対象に4領域のAu element配列とその隣接領域の塩基配列を決定、比較した。85系統のタルホコムギは大きく4つのサブグループからなり、カスピ海沿岸に変異の中心地を持つことが分かった。また、普通系コムギの塩基配列との比較より普通系コムギはカスピ海沿岸で単一起原であることが分かった。
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