2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国の内モンゴル自治区における生態移民の実態解明に関する研究
Project/Area Number |
15710176
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
甦 叶 東北大学, 東北アジア研究センター・寄付研究部門助手 (30333909)
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Keywords | 生態移民 / 内モンゴル / 国際情報交換 / 草原環境保全 / 環境政策 |
Research Abstract |
本年度では主に以下の内容を実施した: 1、内モンゴルの自然環境と社会環境に関する基礎情報の収集を行った。具体的に内モンゴルの気候データ、植生状況に関するデータの収集と人口、経済(特に草原環境に密接な関係をもつ草原牧畜業に関するデータ)などの社会情報及びその地域配置などに関する情報を収集した。 2、現地の研究者及び研究機関の協力を得て、収集した地理的及び社会的な情報をGISのデータベースに取り組み、これらの情報の一部のビジュアル化を行った。例えば、内モンゴルの各経済類型区の空間配置、人口の地域分布、家畜の空間分布、貧困地域の空間配置、土地利用現状などのビジュアル化の作業はほぼ完成している。 3、内モンゴルの草原環境の砂漠化、劣化のメカニズムを検討し、人為的な影響要素である中国建国以来の草原環境保全政策の取り組みに注目し、文献調査などを通じ、草原生態系に対する政府側の認識の変化、草原の環境保全政策の変遷を検討し、国の草原環境保全政策及び牧畜業の産業政策の変遷に伴った草原地域社会の変容を考察中である。 4、内モンゴルの草原の自然生態を回復するための「退耕還林・還草」、「退牧埠草」政策及びそれにともなう「生態移民」プロジェクトの実態を把握するための現地調査を2回ほど実施した。現地調査は内モンゴル中部のシリンゴル盟を選定し、「生態移民」プロジェクトの実施に関する情報収集を行っている。 5、内モンゴルにおける章原牧畜システムの特質及び現状を理解するために、日本国内及び世界における草原環境保全及び牧畜システムに関する先行研究を調べ、内モンゴルのような「粗放的な牧畜システム」が世界全体の牧畜業における位置付けを把握し、「粗放的な牧畜システム」の存続に関して考察中である。 6、平成15年上半期・中国に流行したSARSの影響彰受け、計画していた3回の海外調査のうち2回を実施した。
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