2004 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダー・パースペクティブからみた性教育のあり方に関する研究
Project/Area Number |
15710188
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
中澤 智惠 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (00272625)
|
Keywords | ジェンダー / 性 / セクシュアリティ / 性教育 / 青少年 |
Research Abstract |
2004(平成16)年度に実施した研究活動・内容は、下記に示すとおりである。 1 昨年度予定していたものの、日程調整の関係上延期したスウェーデンでのヒアリング調査を実施した。具体的には、Ungdomsmottagningen(青少年クリニック・相談センター)のソーシャル・ワーカー、および教師に対する研修を実施しているCentrum for Barns och Ungdomars Halsa(子どもと青少年の健康センター)の職員に対して行った。 後者のセンターは広く子どもと青少年の健康問題を総合的に取り扱っており、スクールナースに対する研修等を行っている。性教育が健康教育に位置づけられているといえる。ここの教育カウンセラーによれば、セクシュアリティに人間関係とライフタイムスキルという観点を入れて性教育を実施しており、また10代の青少年が互いに自らのことを率直に話し合える雰囲気をいかにして醸成するかという点を重視して研修を実施しているということであった。 2 高知県思春期相談センターの協力を受けて、保健所所長にヒアリング調査を実施した。 その要点は、下記の通りである。1)この所長は男性であるが、性教育に関心を持って取り組んでいる医師や教師には女性が多く、男性であるということがまず、男子生徒に親近感を持ってもらえる要因となっている。2)性教育の形式としては、保健所での実施よりもむしろ、管轄地域内外の学校からの講演依頼が多い。3)強調点は、エイズと性感染症予防である。教育の「専門家」ではないので、正しい医学的な知識の提供というスタンスで臨んでいる。このように、保健所の医師としての責任の範囲とスタンスを明らかにした上で、自らが取り組む内容と、学校に対して取り組みを求める部分との両面からアプローチして、子どもや生徒に携わる関係者がそれぞれの立場から取り組むように働きかけている点が現実的・実践的であるといえる。
|