2004 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀初頭フランスにおける哲学・生物学・政治学の錯綜
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15720006
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
村松 正隆 跡見学園女子大学, マネジメント学部, 専任講師 (70348168)
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Keywords | メーヌ・ド・ビラン / ビシャ / フランス哲学 / 生命論 / オーギュスト・コント |
Research Abstract |
本年度の研究においては、前半期においては、これまでのメーヌ・ド・ビラン研究をまとめる意味で、「<現われ>とその秩序メーヌ・ド・ビラン研究」と題した博士学位請求論文を東京大学大学院人文社会系研究科に提出し、これを受理された。本研究においては、昨今やや現象学的読解が目立つメーヌ・ド・ビランの哲学について、これを再び歴史的文脈の中に説き起こし、メーヌ・ド・ビランの哲学が持つ広い意味での科学論的な側面にも着目しながら、その「人間の学」に関する側面を強調することを試み、またそうした側面からビラニスム自身をも解釈することを試みた。メーヌ・ド・ビラン哲学に対してバルテーズ、カバニスなどが与えた影響を明確にすることには十分に成功したと考えられる。 また、夏期休暇中は、パリへの研究出張を実施し、パリの国立図書館にて、ビシャ、カバニスなどの書籍に接し、彼らの著作の版毎の異同を具体的に確認することで、その著作の変遷のいくつかを実地に確認することができた。また、この時期から集中して行った、19世紀初頭の解剖学者ビシャの研究は、ビシャへの内在的な理解のみならず、ビシャが19世紀の哲学者たちに与えた影響にまで広がっている。具体的には、ビシャのテキストに対してメーヌ・ド・ビランやオーギュスト・コントなどが下した批評の論理を詳らかにすることによって、実証的であることを標榜する生物学に対して、哲学がいかなる語り口を行うのかの、いくつかのモデルケースを明らかにした。この成果は、2005年9月に発行される日仏哲学会の会誌、『フランス哲学・思想研究』に掲載されることが決定されている。
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Research Products
(2 results)