2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15720017
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
坂倉 裕治 立教大学, 文学部, 助教授 (60318681)
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Keywords | 18世紀フランス思想 / 感覚論哲学 / 聾唖者 / コンディヤック / 啓蒙主義 |
Research Abstract |
本研究は、18世紀のフランスにおける認識論の主流をなした感覚論哲学のテクストを、当時の聾唖者をめぐる議論をてがかりとして読み解こうと試みるものである。本年度は、前年度の予備調査を踏まえて、フランスにおいて本格的な文献蒐集を行った。昨年の予備調査でほぼ所蔵状況を確認ずみの文献について、とりわけパリ国立聾学院歴史図書室の全面的な協力によって、順調に閲覧・複写物の入手ができた。特に、これまで、資料保護の観点から複写機による複写が不可能であった貴重書について、一眼レフ・デジタル・カメラによる撮影を行った。手稿についてもパソコンの画面上で文字が完全に判読可能であり、従来のマイクロフィルム等に比べて、格段に扱いやすいことが判明した。 本年度の反省点は次の3点である。(1)本研究では、デジタル・カメラによる撮影、形態型スキャナによる文献の読み取りを積極的に行った。この方法は、資料の蒐集に関わる時間と経費の節減に大いに貢献するものであった。しかし、研究の効率化のために不可欠なデジタル画像のテクスト化については予想非常に確認作業が煩瑣であった。これは、種として、古い文献に特有の活字を読み取りソフトが誤読することが多いためである。また、海外での研究活動中に、院生などに研究補助をお願いすることはほとんど不可能であった。必要なソフトを組み込んだ作業用のパソコンと、作業用スペースの確保ができなかったからである。今後、この方法による海外での長期調査にあたっては、研究補助のあり方について周到な準備が必要であることがわかった。 (2)デジタル・カメラによって撮影された画像の品質は研究上十分であると判断できる。しかし、画像の記録メディアが予想以上に必要であり、しかも、フランスではDVD-Ramディスクの購入は困難であった。 3年計画の最終年度となる次年度には、研究成果のとりまとめを行なう予定である。
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Research Products
(1 results)