2004 Fiscal Year Annual Research Report
昭和期京都の映画文化におけるフィルム・コミッション的機能の形成と展開
Project/Area Number |
15720027
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
冨田 美香 立命館大学, 文学部, 助教授 (30330004)
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Keywords | 映画 / フィールド・ワーク / 小唄 / ロケーション |
Research Abstract |
本年度は以下の作品について、制作者や現地情報を対象に集中的に聞き取り調査をし、映像情報も含めてデジタル化・データベース化を行った。 1.フィルム・コミッションの先駆的作品といえる地方小唄映画の代表作「三朝小唄」(1929年、マキノ映画、人見吉之助監督)。 ロケ地 鳥取県東伯郡三朝町 *本作は、山陰線で結ばれた地域と、京都の映画会社が共同で製作した作品。ロケ地の方々から、映画のロケ場所・状況を聞き取り、すべてのシーンのロケ地を検証し、映像の中の情景と現況を比較した。また、現地でのフィルム利用状況についても調査を行った。この調査結果については、次年度に報告する予定。 2.戦前の大衆娯楽作品のなかでも代表的な浪曲映画「神崎東下り」(1934年、エトナ映画、後藤岱山監督)。 ロケ地 龍安寺、木津、琵琶湖、箱根 *本作は、失われていた作品であったが、2003年度に制作者が部分的に所蔵していることが判明し、本年度から映像のデジタル化と調査を開始した作品である。遺された映像と、制作者からの聞き取り・資料にもとづき、語り物であまねく知られた東海道の場面の撮影場所を確定していった。東海道のシーンを、通常京都の映画会社がロケを行っている竜安寺や近在の寺社内で撮影したことが判明。本調査の報告の一部は、「洛西地域映画史聴き取り調査報告4 エトナ映画の軌跡」(『アート・リサーチ』)としてまとめたが、「神崎東下り」についての分析は次年度に行う。 3.戦後京都映画文化を代表する「新・平家物語」(1955年、大映京都、溝口健二監督) ロケ地 法隆寺、比叡山、今宮神社、東寺、太秦オープンセット(遠景に嵯峨野の山並) *本作は、京都を舞台に描いた歴史物語で、現地ロケを駆使したカラー作品。ロケ地とその撮影談に関する制作者への聞き取り調査を2004-2005年度かけて行う。色彩の問題から、朱の鳥居を生かした場所でロケが行われたことや、ロケ地となっている法隆寺や東寺などの当時の荒廃具合も判明した。
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Research Products
(3 results)