2004 Fiscal Year Annual Research Report
声明資料を利用した日本語の音節構造に関する歴史的研究
Project/Area Number |
15720103
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅田 健太朗 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (50346045)
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Keywords | 日本語音韻史 / 音節構造 / 後位モーラ / 声明譜 / 講式 / 節博士 / 韻尾 / 漢字音 |
Research Abstract |
本年度は昨年度から継続して寺院、大学に所蔵される資料の調査を進めた。調査は2カ所において行い、それぞれ資料を閲覧し、可能ならば撮影・複写を行った。その概要を次に示す。 第1回調査 和歌山県桃山町興山寺 平成16年5月1日〜5月2日。「土砂加持法則」の文献調査及び写真撮影を行った。複写したものはCD-ROMで参照可能となっている。 第2回調査 東京大学文学部国語研究室 平成16年8月17日〜8月18日。昨年度の調査に引き続き、講式としてもっと古い譜の形態を留める「大慈院本涅槃講式」の調査を行った。なおこの調査は完了しなかったため、次年度に再調査を行う予定である。また他に「般若波羅密多理趣品」の閲覧も行った。 これらの調査の成果をもとに、声明譜における「ム」と「ン」の使い分けについての論を公表予定である(3月公刊予定)。これによれば、韻尾の種類による「ム」「ン」の書き分けは、真言宗相応院流の譜本、天台宗の譜本に見られ、韻尾の開始位置による「ム」「ン」の書き分けは、真言宗南山進流の譜本と真言宗相応院流の譜本、天台宗の一部の譜本に見られることが明らかとなった。このことにより、天台宗では韻尾の種類による書き分けを残したことによって韻尾の開始位置による区別が発達せず、逆に南山進流では韻尾の種類による書き分けが衰退したことによって韻尾の開始位置による区別が発達したものと推定した。 また一方で漢字音を対象とした音節構造についての論を発表した。代表的な声明集の調査に基づき、漢字音における韻尾や後位母音は時代を経るに従って独立性が高くなることを論じた。
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Research Products
(2 results)