2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15720105
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Research Institution | Osaka Women's University |
Principal Investigator |
山東 功 大阪女子大学, 人文社会学部, 専任講師 (10326241)
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Keywords | 官制国語審議会 / 標準漢字表 / 漢字字体整理案 / 新字音仮名遣 / 日本国語会 / 保科孝一 / 日本語学史 / 国語政策 |
Research Abstract |
本年度は官制国語審議会の文献学的資料調査として、官制国語審議会が設置された昭和9年から昭和24年の間で建議された諸案について、審議会議事録の精査を通して、時系列的に分析を行った。 具体的には、審議会下に構成された委員会の構成とその人員、ならびに審議内容の調査、匿名議事録から可能な範囲での発言者の特定、諸案発表経緯に関する書類上の再構成などを、文化庁、国立国語研究所、国立公文書館等所蔵文献から実施した。なお本調査は、特に文化庁所蔵文献については悉皆調査を旨としていたが、文化庁の移転に伴い所蔵資料の多くが国立国語研究所に委託保管されていたため、調査の中心は国立国語研究所委託分のみにとどまった。 本調査により、官制国語審議会で検討された項目が極めて多伎に及ぶことが確認されたが、現実には「標準漢字表」「漢字字体整理案」といった答申は戦時下であったことも影響して、国語施策としての実効性を欠く点が改めて明らかになった。しかしながら戦後の国語施策において極めて重要な位置を占める「当用漢字表」や「当用漢字字体表」も、この官制国語審議会における議案をもとに逐次検討されていったわけであり、その意味において、特に漢字の取り扱いを中心として国語施策における戦前と戦後との連続性を垣間見ることもでき、本官制国語審議会の日本語学史的研究により、いわば戦後の国語施策を準備する重要な位置を占めていたということが示された。 かかる内容については官制国語審議会時期の国語施策通史として、文化庁において検討されている国語施策百年史編纂事業において発表を予定している。
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Research Products
(2 results)