2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15720106
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
北原 博雄 聖徳大学, 人文学部, 講師 (00337776)
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Keywords | アスペクト / 動詞句 / 限界性(telicity) / 意味役割 / 意味論(semantics) / 統語論(syntax) |
Research Abstract |
1.動詞句の限界性(telicity)は、これまで、主要部(head)となる動詞とその項から成る句、および、そのような句を修飾する付加詞を含めた句を中心に研究されてきた.本年度は、いわゆる統語的複合動詞の「前項」に移動動詞が付いた例の限界性を、意味論的、統語論的に考えた.例えば、「なおも麓に下り続ける」と「なおも実家に帰り続ける」における、アスペクト的な意味の共通点と相違点を体系的に説明する方法を研究した. 意味論的な分析は、「経路/着点指向動詞句の意味論-限界性の意味論的一般化のケース・スタディとして-」というタイトルで学会誌に投稿中であり、統語論的な分析は、韓国日本学会の論文誌に一部発表し、書き直しているところである. 2.主体の変化を表す動詞の中で、例えば「太る、温まる、上がる」などの動詞は、その概念的意味が、 [[状態概念]動作概念] のように、状態概念が動作概念に包まれているようなものがある.例えば、「温まる」は、 [[温かい]なる] のようにである.このような意味概念は統語的には編入(incorporation)という操作で説明されることがある.また、「温まる」と「温かくなる」は意味がどう違うかなどを考えた.これらについては、論文を執筆中である. 3.2で書いたことは、程度副詞による程度修飾機能が限界性と関わることに繋がっていくようである.これまで、日本語研究では、本研究代表者の研究を含めて、付加詞の限界性への関与は、副詞的な数量詞や、「駅まで」のようなマデ句くらいしか研究されていない.
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