2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本手話使用者の言語的直観に即した日本手話造語システムに関する基礎研究
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15720134
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
原 大介 愛知医科大学, 看護学部, 助教授 (00329822)
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Keywords | 語の適格性 / 複雑度 / 情報量 / あたらしい手話 / 日本手話 |
Research Abstract |
1.日本ろうあ連盟出版の「新しい手話I」に収録されている手話単語約300語(a群)およびそれらに対して日本手話の音韻規則・音素配列論に適合するように必要最小限の修正を加えた手話単語約300語(b群)(合計約600語)の容認度判定を行い、「適格な語」と「不適格な語」に分類した。 2.手話単語の適格性(適格・不適格)に関して、群別(a群、b群別)、手話のタイプ別(両手手話、片手手話等の別)、構成要素別(手型、位置、動き)等の観点から、Fisherの正確検定、Kruskal-Wallisの検定、Studentのt検定等の検定を行った。その結果、以下のような知見を得た。 (1)「あたらしい手話」では、複雑度的両手手話(タイプ0&1)の方が、複雑度的片手手話(タイプ2&3)よりも不適格と判定される可能性が高い。 (2)不適格な語の持つタイプ別複雑度の平均値の方が適格な語の持つタイプ別複雑度の平均値よりも高い。すなわち、語形成に関与する非利き手の度合いが高くなると不適格と判定される可能性が高い。 (3)a群の複雑度的片手手話において、適格と判定される語の手型の複雑度の平均値は、非適格と判定される語の手型の複雑度の平均値よりも高い。「あたらしい手話」の複雑度的片手手話では、手型の複雑度が低いと不適格と判定される可能性が高い。 3.適格な語と不適格な語の言語的特徴に関して分析を行い以下のような知見を得た。 (1)タイプ3の特殊なケース(両手が動く語)においては、両手の接触が不可欠である。 (2)タイプ3の非利き手手型の一部(Fなど)は特定の動き(軌跡移動など)としか共起しない。 (3)W手型は、数字または漢字の一部を表すためにしか使用できない。(図像的な語を除く。) (4)手話構成要素の位置指定は1単語に1つのみである。 (5)一音節内における繰り返し動作の最中に手話変化に起こらない可能性が高い。
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