2003 Fiscal Year Annual Research Report
ワイマル期ドイツの慈善団体支援政策の研究―扶助義務令成立過程の分析を通じて―
Project/Area Number |
15720165
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
星 隆介 東北大学, 文学研究科, 助手 (70343027)
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Keywords | 近現代史 / 社会福祉 / 福祉国家 / ドイツ |
Research Abstract |
ドイツでは、1924年2月13日のライヒ扶助義務令(以下RVFと表記)が、社会福祉制度における私的慈善団体と公的扶助制度の協力関係を法的に規定し,これにより民間福祉・慈善団体の活動が国家によって社会福祉給付システムの中に積極的に位置づけられることとなった。しかし,RVFのこの規定について,我が国ではこれまで十分な関心が払われてこなかった.というのも,RVFについて,(1)社会政策史研究においては,公的給付への権利性の実態如何(「救貧から扶助への転換」の内実)のみが問われ,(2)財政史研究においては,RVFと中央=地方間単政調整問題との関連に焦点が置かれていたからである.本研究は以上のような研究史上の欠落を埋めるべく,1.RVFの政策的意図,2.RVFを巡る国家・都市自治体・民間福祉・慈善団体相互の利害関係とそれを規定する客観的状況,最終的な成立段階におけるその推進勢力,以上三点を明らかにし,もってRVFにおける慈善団体関連規定の意義を確定するごとを究極的な課題とする.本年度は,その準備作業として,ドイツ公共民間福祉事業協会本部附属図書館(DVと略記、所在地フランクフルト)、ヘッセン経済文書館(同ダルムシュタット)、カリタス連合本部文書館(同フライブルク)等において関連資史料の収集を行い、その検討・分析を進めた.またRVFの成立過程をより長期的なスパンの中で位置づけるために、RVF成立前史としての第一次大戦前の時期に、おける救貧制度改革をめぐる議輪に関する考察を進めた。以上の結果、第一次大戦前期における民間慈善と公的救貧との連携強化や扶助籍去改正問題への、DVを中心とする社会改良系団体の積極的関与と関心の高さとが、大戦後におけるRVF成立の一前提をなすとの見通しを得た。
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