2003 Fiscal Year Annual Research Report
人種・ジェンダー・階級の視点から考察する合衆国南部社会の再建に関する研究
Project/Area Number |
15720166
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
落合 明子 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (30264831)
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Keywords | 南北戦争 / 再建期 / 解放奴隷 / サウスカロライナ / ロウカントリー / 土地 |
Research Abstract |
本研究は、アメリカ合衆国の南北戦争・再建期の黒人による自由の希求を探るために、黒人、南部白人、北部白人の相関関係を多角的に分析し、地域レベルで行われた再建の全体像の解明を試みることである。具体的には、サウスカロライナ州ロウカントリー地域にあるシーアイランド諸島(ビュフォート郡)を事例として、人種・ジェンダー・階級の視点を取り入れ、より総合的な研究を目指すものである。 本年度は、本研究の一年目にあたることから、基本的資料の調査収集とそれらの精読・分析を中心に活動を行った。8月には約3週間にわたりノースカロライナ州立大学チャペル・ヒル校、首都ワシントンの国立公文書館などで資料の調査収集をした。特にチャペル・ヒル校ではローラ・タウンなど北部白人や南部白人の日記や書簡、及びシーアイランド諸島の地方史関連の貴重な資料を入手できた。マサチューセッツ歴史協会からはエドワード・アトキンソンなどの,書簡の写しを取り寄せた。ジェンダーに関しては、最新の研究動向を把握するために、基本的な文献の入手に努めた。本年度の後半は、主にこれらの入手資料の精読と分析を行った。その結果、北部白人が主導する形で解放奴隷政策は進められたが、その際に彼らの黒人に対する人種観が政策を大きく左右したこと、またジェンダーによって人種観が異なったとと、そして解放奴隷政策に反動的な反応を示した南部白人の側にも同様の傾向が見られることが明らかになった。この研究成果の一部は、執筆中であった著書(Harvesting Freedom)にも反映させることができた。 次年度は、特に解放奴隷側の史料の調査収集・分析、及び階級の視点を今析により取り入れることを通じて、より一層総合的な研究を目指す予定である。
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Research Products
(1 results)