2003 Fiscal Year Annual Research Report
第二次世界大戦終了後のソ連軍占領地域ドイツにおける再軍備政策の展開
Project/Area Number |
15720167
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
中田 潤 茨城大学, 人文学部, 助教授 (40332548)
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Keywords | 西洋史 / 現代史 / ドイツ史 / 安全保障 / 再軍備 / 国際関係 / SBZ / SED |
Research Abstract |
平成15年9月にほぼ一ヶ月間をかけて,ベルリン国立図書館,ドイツ連邦文書館,ザクセン州立文書館において資料収集を行った.その重点は,研究計画に記載してあるように,ソ連軍政部および社会主義統一党ならびに内務行政機関の政策分析にあった.その部分的な成果を「冷戦体制と分断国家ドイツの成立」(研究ノート)として発表した. 本研究課題における現時的での新たな知見は以下の通りである.1)安全保障政策の領域において,SED指導部は独自の決定を下すことは1952/53年時点年では皆無であった.SED指導部内の一部の人物に対してSMADの側から指示がなされ,こうした指示はその後党・行政機構内で議論されることなく,決定事項としてSBZにおいて実施に移されていった.2)SBZにおける安全保障政策の「軍事化」は,1948年初夏より顕著になり始める.こうした過程は,ドイツ内務行政機関への安全保障政策に関する権限集中と,警察官の採用・訓練方針に軍事的な色彩が強まっていく点から読みとることができる.またこれは,ソ連指導部による東側分断国家設立および,その拡大という形でのドイツ統一というオプションへの布石としての意図が込められていた.3)しかしながらこの時期においてもソ連指導部は,SEDによる支配体制の放棄を含めた大幅な譲歩によるドイツ統一オプションをも同時に追求していた.こうした2重戦略が最終的に放棄されるのは1952年夏であった.4)SED指導部は,ソ連が2重戦略を放棄する以前のすでに1946年時点より,SED主導による東側分断国家の設立を望んでいた.その意味で戦後初期のSBZにおいては,SED体制はソ連軍政部の後ろ盾なしには存続できなかったにもかかわらず,両者の間にはドイツ政策を巡って大きな構想の相違が存在していた.
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Research Products
(1 results)