2003 Fiscal Year Annual Research Report
ローマ帝政後期の皇帝支配における都市建築とレトリック
Project/Area Number |
15720170
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
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Keywords | ローマ帝政後期 / コンスタンティウスII世 / レトリック / 都市建築 / アッミアーヌス・マルケリヌス / 皇帝賞賛演説 / ラテン語 / 皇帝支配 |
Research Abstract |
平成15年度に遂行した研究の概要は以下の通りである。 第一に、ローマ帝政後期の皇帝支配に関する「レトリック」については、博士論文以来の研究対象であるコンスタンティウス2世に対する資料(アッミアーヌス・マルケリヌース)を中心に研究した。特に、「過酷(severitas)」概念に焦点を当て、その形容の妥当性を、現実政治と文学ジャンルとしての「皇帝賞賛演説」の伝統の両面から分析した。そこでは、従来ほとんど顧慮されてこなかったが、コンスタンティウスの人格や治世を「過酷」と形容する著者の叙述には、多くの内的矛盾がある。これを整合的に説明することは(現時点で)不可能であるが、一つの説明としては、それまでの皇帝賞賛の伝統に逆らって皇帝を批判するために、このような(事実とは矛盾しても)叙述や文体を必要とした、ということが考えられる。尚、この研究成果は、平成16年2月の新潟大学における研究会にて発表し、また同5月の日本西洋史学会(於東北学院大学>にて発表する。 第二に、皇帝支配と都市建築の関係についての研究は、主として平成15年8月から9月にかけてイタリア(ローマ)および英国ノッティンガム大学およびオクスフォード大学において、実施された。ローマでは、現地(遺跡)および考古学博物館などにおいて、デジタル写真などによって、建築物装飾と碑文内容の関係を分析した。英国では、絵画資料や碑文資料の収集を行うとともに、専門研究者と意見交換を行った。この研究は平成16年度も継続する予定である。 第三に、日本西洋古典学会、西洋史学会などの学会に参加し、専門分野の近い、日本人研究者と交流を深めた。そして、英文雑誌「古代(KODAI)」の校正などを担当した。
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