2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒスイ製品の流通と交易形態に関する経済考古学的研究
Project/Area Number |
15720180
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高橋 浩二 富山大学, 人文学部, 助教授 (10322108)
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Keywords | ヒスイ / 考古学 / 流通・交易形態 / 日本海交流史 |
Research Abstract |
従来、縄文時代から古墳時代までに至る遺跡から出土するヒスイの生産と流通については、時代別の記述に偏し、通史的・統一的な方法及び評価による研究が行われていなかった。そこで、大きさ、形のまったく異なる日本列島出土の各時代のヒスイ製品及び未製品、原石類に対して、重量測定、色質の比較、という2つに着目することによって通史的・統一的に理解し、それによって流通及び交易の実態を明らかにすることを目的とした。 調査の結果、(1)日本列島出土のヒスイ製品及び未製品、原石類の出土は、北海道礼文町から沖縄県糸満市までの広域に及び、縄文時代で約1000遺跡(3000点以上、ただし長者ケ原遺跡及び境A遺跡、寺地遺跡における大量出土の点数を除く)、弥生時代・続縄文時代で約270遺跡(800点以上)、古墳時代・古代・擦文時代で約600遺跡(1400点以上)が現段階で確認された。(2)原産地域からのヒスイ製品の流通は、重量測定を併用することによって、拠点地域再分配と海路長距離直送(縄文時代)、海路長距離直送(弥生時代・続縄文時代)、海路長距離直送と倭政権による管理流通(古墳時代・古代・擦文時代)というモデルとその変遷過程として把握することができた。(3)ヒスイ製品の価値観に関わる色質については、縄文から古墳時代までの長期的な変遷パターンの傾向を示しヒスイ製品の取り扱われ方の変化を考え、また測定方法及び測定機器に関する課題を示すことができた。 以上、縄文から古墳時代・古代にかけてのヒスイの流通及び交易について見通しを示すことができたが、これらの研究成果は報告書として公表し、今後の研究の進展に寄与するように努めた。
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