2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15720188
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Research Institution | (財)元興寺文化財研究所 |
Principal Investigator |
佐藤 亜聖 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (40321947)
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Keywords | 中世都市 / 奈良 / 寺院 / 考古学 / 興福寺 / 元興寺 / 平城京 |
Research Abstract |
15年度の研究は主に基礎文献の集成、基礎資料の集成とデータベース作成、各地における都市的な空間の踏査に主眼を置いて行った。 基礎文献の集成作業は主に既刊図書の購入や地図の購入を行い、分類、整理を行った。次年度引き続き継続する予定である。 基礎資料の集成とデータベース化は、今年度の研究計画に則って主に平城京のインフラがその後の中世都市奈良成立にどういった影響を与えたのかという点に注目し、平安遷都以後の平城京域、平城京隣接地を中心に、中世の遺構が検出された遺跡・遺構を集成、エクセルデータで入力、データカードを作成している。2003年度内で完成する予定である。 都市的な空間の踏査では畿内と成立条件の異なる地域を踏査・調査した。具体的には鹿児島県持躰松遺跡、沖縄県今帰仁城を踏査し、畠作と流通を成立背景とした持躰松遺跡、海洋流通を背景に成立した今帰仁城のそれぞれ奈良町と大きく異なる都市形態を確認した。 15年度の研究成果としては中世都市奈良に関する基礎データが集ったことである。データの分析や未報告資料の検討が不十分なため、成果については今後の検討が必要だが、これにより平城京以降、東西方向の交通が南北に転換することや、都市奈良の成立が従来指摘されている治承の焼き討ちなどではなく、奈良盆地全体の村落構造の変化に連動しているであろう点を指摘できそうである。なお、本年度の成果は2004年3月に行われたシンポジウム「中世都市奈良と各都市の諸相」にて発表させていただいた。 15年度の成果を本に、16年度は細部の分析を行う予定である。具体的には上半期で分析の基礎となる土器編年を整備し、同時に研究史に関するまとめを行う。また、地籍図の分析を通した奈良内部の都市構造の分析等を行う予定である。
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