2004 Fiscal Year Annual Research Report
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15720188
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Research Institution | (財)元興寺文化財研究所 |
Principal Investigator |
佐藤 亜聖 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (40321947)
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Keywords | 中世都市 / 奈良 / 寺院 / 考古学 / 興福寺 / 元興寺 / 平城京 / 寺院境内墓地 |
Research Abstract |
16年度は主に基礎文献の集成、研究史の整理、遺物編年にむけた発掘資料の整理を行なった。 基礎文献の集成作業は昨年度に引き続き行なったもので、既刊図書の購入のほかに文献目録の作成、分類を行い、これを元に研究史の整理作業を行なった。また、昨年度作成したデータベースに新たなデータを追加し、校正作業を行なった。さらに、奈良をとりまく中小寺院の踏査を行ない、その立地と境内墓地の墓標調査を行なった。残念ながら墓標の悉皆調査は墓標の大半がコンクリートで固めてあったため実現できていない。 16年度の成果としては、文献目録の作成と研究史の整理を通して研究の方向性を再確認し、報告書作成に向けた章立ての確認ができたことと、発掘資料の整理を通して時間軸の決め手となる土器編年の見通しが立ったこと、奈良をとりまく中小規模寺院について、その成立時期と立地、境内墓地のありかたから、郷民の成長に伴う寺院の成立を確認できたことが挙げられる。 今年度までの成果を「中世都市奈良の成立と変容-考古資料を中心として-」というタイトルで論文化し発表を行なったが、その中で平城京から中世都市奈良への変化の画期を11世紀にし、都市景観の完成に当たっては治承の焼き討ちが大きな意味を持っていないことを指摘、都市の完成は市の成立や都市縁辺部の活性化などが顕著になる13世紀代を考えた。さらに中世都市から近世都市への変化を16世紀後半から17世紀初頭にかけての段階的な変化に求め、中世都市奈良の成立から解体までの流れを整理することができた。 次年度の研究課題として、寺院境内墓地の墓標調査、昨年度完成できなかった基準編年の確立、報告書の作成を予定している。
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Research Products
(1 results)