2003 Fiscal Year Annual Research Report
弥生時代の外来系土器の意味に関する比較研究-北部九州地域における朝鮮半島系土器と、大和地域における外来系土器の比較検討-
Project/Area Number |
15720190
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
川上 洋一 奈良県立橿原考古学研究所, 研究企画交流チーム, 主任研究員 (10250383)
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Keywords | 弥生時代 / 外来系土器 / 弥生土器 / 無文系土器 / 楽浪系土器 / 三韓系土器 / 生駒山西麓地域 / 生駒谷・平群谷 |
Research Abstract |
北部九州と大和地域における外来系土器について、事例収集(未完成)と実物観察による調査を行った。 以下の資料に対して実見による調査を行った。北部九州地域は、対馬の峰町に所在する三根遺跡山辺区、井手遺跡ほかの遺跡出土資料、福岡市諸岡遺跡の朝鮮半島系土器、さらに関連して東京大学所蔵の楽浪土城と石巌里205号墳出土の楽浪土器である。大和地域については、河内地域のうち生駒山西麓地域に隣接する奈良県西北部の生駒谷と平群谷地域の諸遺跡出土の弥生土器である。 楽浪土器の観察は、北部九州地域を中心に出土する楽浪系土器を考えるための基礎的な作業である。対馬の三根遺跡における朝鮮半島系土器(無文系土器、楽浪系土器、三韓系土器)の出土数は、出土土器総数に対する比率で考えると、その割合が三雲遺跡などと比べれば格段に高い。一方、対馬在地の土器は北部九州の弥生土器と大枠において共通しており、朝鮮半島系の土器の要素が在地の土器に技術的・形態的に影響を与えている状況を明確に認めることは出来なかった。これらのことから三根遺跡では、朝鮮半島地域との日常的かつ独自の、物流を伴う関係があったことが考えられる。しかし、諸岡遺跡で考えられているような、半島から渡来した人々が短期間滞在してその間に土器を製作したと考える状況と対比しうるかどうかは、次年度以降の検討課題である。 また、大和地域のうち生駒谷・平群谷の弥生土器については、中期に生駒山西麓地域産の土器がこの地域に多く搬入されており、在地産土器でも甕の中には、その影響を受けた形態や外面調整を施すものが一定の割合で製作されているようである。しかし他器種のあり方からみて、この地域の土器様式も大枠では、大和地域のものとして考えられる。
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Research Products
(1 results)