2004 Fiscal Year Annual Research Report
弥生時代の外来系土器の意味に関する比較研究-北部九州地域における朝鮮半島系土器と、大和地域における外来系土器の比較検討-
Project/Area Number |
15720190
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
川上 洋一 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第1課, 主任研究員 (10250383)
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Keywords | 弥生時代 / 外来系土器 / 弥生土器 / 朝鮮系無文土器 / 楽浪系土器 / 折衷土器 / 原の辻遺跡 / 佐賀平野 |
Research Abstract |
北部九州と大和地域における弥生時代の外来系土器について、前年度に引き続き事例収集をおこない、関連種資料(在地の弥生土器や朝鮮半島等出土土器)もあわせて実物観察ね調査をおこなった。また今年度は朝鮮系無文土器に関連して、大韓民国へも出張し半島で出土した無文土器についても調査を実施した。 実物資料の観察は、以下の遺跡から出土した資料である。原の辻遺跡、板付周辺遺跡、比恵遺跡群、那珂遺跡群、増田遺跡群、鍋島本村遺跡、切畑遺跡、勒島遺跡、金海大清遺跡、校成里遺跡、牧羊城。 朝鮮系無文土器については壱岐の原の辻遺跡、佐賀平野の増田遺跡群、鍋島本村遺跡、切畑遺跡の資料を実物観察したが、朝鮮半島で出土する事例に類似するものとともに在地の弥生土器の形態や技法を取り込んだ折衷土器と位置づけられる資料も多い。その折衷のありかたは多様であることは、時間差による変異の程度差とともに無文土器自体の個体差が大きいこととも関連し、土器製作の規範が弥生土器のそれと比べて比較的緩やかな無文土器の製作者自身が、製作に当たってどのような形態をイメージし、どのような技法を取り入れるのかといった点に拠っていると考える。 楽浪系土器に関連して原の辻遺跡出土資料を調査し、遼東半島にある牧羊城出土資料に類似した資料が存在したため、東京大学所蔵の牧羊城出土資料についても観察をおこなった。原の辻遺跡出土のこの資料は、すでに鄭仁盛氏が言及している。また、原の辻遺跡出土の資料の中に、滑石混入土器のうち、花盆形土器を模倣し弥生土器と同じ焼成技法で製作した資料が存在することも確認した。異なった土器様式間の模倣の事例として、さらなる検討が必要である。 大和地域の外来系土器に関しては、葛城地域出土で南河内地域と関係があると思われる中期前半の在地産の甕に注目し検討を始めたが、南河内地域の資料の実物観察を実施できていない。来年度以降の課題である。
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Research Products
(1 results)