2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本のマスメディアにおけるオセアニア表象の文化人類学的研究
Project/Area Number |
15720207
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
白川 千尋 新潟大学, 人文学部, 助教授 (60319994)
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Keywords | マスメディア / オセアニア / メラネシア / 異文化表象 / 文化人類学 |
Research Abstract |
本年度は、戦後日本のマスメディアにおけるオセアニア表象のうちメラネシア地域のそれに力点を置きながら、主に以下のような研究活動を行った。 1.メラネシアを取り上げたテレビ番組、図書、新聞記事の把握・収集と、対象の取り上げ方にみられる傾向などの分析。 2.オセアニアを対象とした文化人類学者による学術書および民族誌映像の把握・収集と、対象の取り上げ方にみられる傾向などの分析。 3.テレビ番組、図書、新聞記事の制作過程における文化人類学者の関与のあり方の検討。 4.1950〜60年代におけるマスメディア(特にテレビ番組)と文化人類学者によるオセアニア島嶼部への取材・調査行に関する資料の収集と、両者の相互関係に関する分析。 その結果、主に以下のような知見を得た。 1.テレビ番組においては、図書や新聞記事に比べて、「秘境」や「未開」などのイメージを喚起するような対象の取り上げ方がとりわけ強くみられる。 2.こうした傾向をもつテレビ番組の制作に文化人類学者はほとんど関与していないが、学術書や論文が番組制作者側によって参照されることはしばしばあり、この点で文化人類学者は間接的にではあるにせよ、テレビ番組における異文化表象の構築過程に取り込まれている。 3.以上の知見はここ10年以内のマスメディアの動向に関するものだが、翻って1950〜60年代においては、文化人類学者の調査行にマスメディア側の取材班が同行する、あるいはマスメディア関連企業が調査行に資金面などで支援を行うといった、より直接的な結びつきがみられる。 次年度は、本年度に知見を得ることのできなかった時期や地域に対象を絞り、資料の収集と分析に当たる。また、テレビ番組の取材対象地となった地域において取材に関する調査を実施し、番組が実際に制作されてゆく過程(表象の構築過程)に関する知見を得ることも計画している。
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