2003 Fiscal Year Annual Research Report
地方文化としての「おわら風の盆」の創造/再生産と社会的想像力
Project/Area Number |
15720212
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
長尾 洋子 和光大学, 表現学部, 講師 (20303034)
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Keywords | 芸能 / 祭り / 身体芸術 / おわら風の盆 / ローカルな文化活動 / 現代の文化生成 / 消費文化 / 地域社会 |
Research Abstract |
(1)現在の「おわら風の盆」がどのように行われているかをパフォーマンス(身体芸術、芸能・祭の象徴作用)と運営のふたつの側面から明らかにするために、「おわら風の盆」開催時期にあわせた現地調査および資料収集を行った。その結果、保存会の活動資金を得るためのサポート制度発足やCD企画・販売などに関する情報を得ることが出来、また若年層におけるインフォーマルな芸能伝承や一般家庭での祭りの日の様子の観察、芸能伝承者との交流を行った。 (2)ローカルな文化活動の様相を歴史的に明らかにするために、富山県立図書館、八尾町図書館にて多種類にわたる資料収集を行った。北陸地方でもっとも古い郷土新聞である「富山日報」、「北陸タイムス」については、明治期以降昭和15年までの関連記事を特定、収集することができたことは大きな収穫であった。また、ジェンダーの視点を重視しつつ、消費社会・消費文化の進展を考察するうえで、有効な参照点となりうる宝塚歌劇団関連の資料を池田文庫等にて渉猟した。 (3)現代の文化生成の問題における理論的可能性をさぐるために、上記調査で得られた資料の整理・分析を行った。また、聞き取り調査で得られた音声データを文字化し、分析にたえるものに加工した。 (4)学会等で成果を発表する機会は予定より少なくなってしまったが、6月に早稲田大学で行われた文化研究の国際会議「カルチュラル・タイフーン2004」では、分科会「旅と眼差しの地理学」をコーディネートし、現代の文化生成の問題における理論的可能性をさぐることができた。これを契機として本研究の一端を会議の報告を兼ねた論集の一部として発表する計画が進行中である。
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