2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15720216
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
山田 慎也 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助手 (90311133)
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Keywords | 供養絵額 / 遺影 / 肖像 / 戦死 / 供養 / 写真 / 異常死 / 死生観 |
Research Abstract |
今年度は、絵額の悉皆調査の他、岩手県下の寺院約600軒にアンケート調査をおこなった。現在詳細については分析中であるが、広範囲で遺影の奉納が見られたことがわかり、絵額の奉納があまり行われていない寺院においても写真が奉納されている場合がみられた。岩手県下においては、曹洞宗が圧倒的に多いが、他宗派においても写真の奉納がみられるため、必ずしも宗派の教義に基づく慣習ではなく、地域的な、民俗的な慣習であることがわかった。 しかし現在はそうした習俗も廃止されつつあることが把握でした。特に本堂や屋根の改修を期にしたり、奉納する場所が不足したことを理由にしている場合がみられる。 また絵額、肖像画、遺影写真と継続して悉皆調査を行っている宮守町の長泉寺の額については、割合と高位の戒名の死者の額が奉納されている傾向がわかる。その中には当初受けた戒名からより高い階位の戒名を受ける贈号が行われており、同時に仏具や袈裟などを奉納するなど特別な供養が併せて行われていることがわかる。 さらに供養のための他の奉納物についての調査も行っているが、子供に対しては人形や着物、草履など、また海で遭難した死者にたいしては船の模型などさまざまな種類の奉納物があり、そうした供養のための奉納物の一環として遺影があることが明らかになった。そのなかで戦死者の遺影は各地域においてかなり目立っている。こうしてみると戦死者は天寿を全うしない異常死でありながら、一方では顕彰すべき存在として、特異な存在として人々に受け止められていることがわかる。
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Research Products
(3 results)