2003 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国の都市行政における近隣住区政府ないし都市内分権制度の研究
Project/Area Number |
15730005
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
宗野 隆俊 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (60324563)
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Keywords | 都市内分権 / 近隣住区政府 / コミュニティ開発法人 / アフォーダブルハウス |
Research Abstract |
平成15年度においては,国内研究出張及び海外研究出張を,それぞれ2回ずつ行った。 特に,海外研究出張では,アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ市に滞在し,現地の市政府内の諸機関,複数のコミュニテイ開発法人(community development corporations),市議員(supervisors)等を訪問調査することができた。 今年度の調査は,サンフランシスコ市において大きな社会問題となっている,社会的弱者(高齢者,貧困者,移民など)の入居可能なアフォーダブルハウス、(affordable houses)がいかにして調達されているかに焦点をあてて行われた。とりわけ,この課題への社会全体の取組みのなかで,コミュニティ開発法人と呼称されるNPOが住宅政策の策定過程への参画,資金の調達,不動産の管理,住民集会の開催,コミュニティ維持のための活動など諸々の機能を積極的に担っている様を観察できたことが,最大の成果である。 平成15年度の調査で,私の観察したコミュニティ開発法人は5団体であるが,これらは,市政府と協働しつつ住宅政策のかなりの部分の決定権限を,実質的に獲得していた。NPOたるコミュニティ開発法人がその中枢の一角を担うアフォーダブルハウス政策の策定過程は,いわゆる行政のトップダウン型の政策決定過程とは異なり、「都市内分権」型の政策決定というに相応しい。その動態を今後さらに精査することにより,近隣住区政府が深く関与する政策策定過程のあり方を提示することができると考えられる。また,平成15年度の国内研究調査により,イギリス,ドイツ,フランスの都市内分権の動向に関する新知見をうることができ,比較制度的観点から,アメリカのそれについての知見を深めることができた。
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Research Products
(1 results)