2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15730013
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
酒井 貴子 大阪府立大学, 経済学部, 講師 (40359782)
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Keywords | 連結納税 / 投資調整 / 投資損失 / 損失否認ルール |
Research Abstract |
連結制度における投資損失の取扱いをテーマとした学術論文を完成に向けて執筆中である。中心的な論点は、投資調整と投資損失控除規制の関係にある。投資調整は、具体的には連結グループ内の親会社の持つ子会社株式帳簿価格への増減処理を行うことによって、子会社売却時における連結グループにおける利益又は損失の二回計上を阻止することが目的であるが、このような投資調整の原則的な適用によって、子会社株式売却損失、すなわち、投資損失のなかには、連結グループで発生した経済的損失で一回以上利用されることが可能となる損失、あるいは、適正な法人課税を回避させるような損失が含まれることがある。これらをいかに排除するかが投資損失控除規制の目的とされてきている。そこで、投資調整の補完として、投資損失控除規制を位置づけうるかどうかが問題となる。さらに、損失控除の真の受益者が誰なのかという点に焦点を合わせた場合には、損失控除規制の対象としている乱用取引が本当に規制すべきものなのか、代表的な取引個々にみておく必要がある。現に、アメリカ合衆国では、従来の概括的な損失規制を争われた結果、個々の取引に焦点をあわせた規則作成を行い、ほぼその規則も完成している。そうした規則などを参照しながら、わが国においてどのような濫用可能性があり、どのような理由付けの下にそうした濫用に対して対処できるのか考察を行っている。特に、近年導入されたばかりの日本の連結制度では、連結加入・開始時において時価評価課税を行うが、離脱時において課税上どのようなケアをしておくべきなのか、濫用可能性がないかをさらに考えてみる必要性を示唆する予定である。
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