2003 Fiscal Year Annual Research Report
環境をめぐる多数当事者への権限の分散とその調整システムに関する研究
Project/Area Number |
15730021
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
及川 敬貴 鳥取環境大学, 環境情報学部, 助教授 (90341057)
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Keywords | 環境諮問委員会 / 国家環境政策法 / 環境政策調整 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
研究初年度である本年度において、本研究では、アメリカ合衆国の多数当事者間調整システムの基本的な仕組みを明らかにするための予備的作業として、わが国における問題状況の把握、環境政策調整理論の整理と理解、並びにアメリカでの調整機関である環境諮問委員会(CEQ)により発案された「国家遺産としての河川に関するイニシアティブ」の基本構造の解明をめざし、資料収集、自治体関係者へのインタビューなどを実施した。 まず、わが国における問題状況を把握するために、近年発展をみているエコタウンにおいて「環境」をめぐる多数当事者間の連携がいかように進んでいるのかを検討した。実際に現地を訪れて関係者へのインタビューを行うなどした結果、わが国でも「環境」をめぐる多数当事者間での連携が多様な形で展開されていること、その反面、そうした連携が特定の当事者間でのものに限られている問題があること等が判明した。また、多数当事者間での連携が進む「環境」関連施策とそうではない「環境」関連施策との相違が見られるようになりつつあるのではないか、という仮説を立てる可能性についての知見も得られた。 つぎに、環境政策調整理論で挙げられている「パワーによる調整」の実態について、関連文節を渉猟するとともに、ニュージーランド保全省顧問弁護士へインタビューを実施し、環境保護への市民の啓蒙レベルが当該タイプの調整が機能する背景として重要であることがわかった。 最後に、「国家遺産としての河川に関するイニシアティブ」に関する各種資料を集中的に収集し、大統領令の内容等を詳細に検討した。その結果、当該イニシアティブの目的が、新たな環境政策を立案するのではなく、既存の諸々の環境政策をより効果的に活用するための仕掛けをデザインすることであり、そして、そうした仕掛けがCEQという「調整」組織の機能と重なり合うものであること等が確認された。
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Research Products
(1 results)