2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15730052
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
杉本 好央 東京都立大学, 法学部, 助手 (80347260)
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Keywords | 解除 / フランス民法 / ローマ法 / カノン法 / パリ慣習法 / ドマ / ポチエ / ブルジョン |
Research Abstract |
本年度の研究では、フランス法定解除制度の基本構造について、その起源は何処にあるのかという問いを出発点に検討を進めた。 その結果、それは時にはローマ法に、時にはカノン法に、また時にはフランス地域慣習法における立法・判例・学説にあることが明らかとなった。すなわち、ローマ法については無名契約における目的不到達による不当利得返還請求権condictio ob causamを、カノン法については12世紀末にフグッチョによって定式化された「信義を破る者は信義を守られない(Frangenti fidem fides frangatur eidem)」を、フランス地域慣習法については売主による売却動産の取戻権を認めるパリ慣習法176条および177条を、またこの法理を不動産の場合に拡張する判例を、そしてフランス慣習法学者であるドマ(Domat)、ポチエ(Pothier)、ブルジョン(Bourjon)の著作で展開された一般的な法理を、その起源として挙げることができる。 しかし他方で、検討を進める過程で、以上のような起源の探求のみでは、フランス解除制度の基本構造の解明には不十分であるとの認識に至った。なぜなら、それらの起源はフランス解除制度の基本構造の構成要素でしかなく、それらの要素を組み合わせる論理を明らかにしなければ、基本構造の全体像を把握したことにならないからである。 この組合せの論理の解明が次の課題となる。それは、具体的には、法定解除制度を規定するフランス民法1184条の編纂過程の検討という形で行われる。
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