2004 Fiscal Year Annual Research Report
フランス福祉国家の成立に関する思想史的研究-社会経済学・共和主義・連帯主義
Project/Area Number |
15730063
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 拓道 北海道大学, 法学研究科, 講師 (20333586)
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Keywords | フランス / 福祉国家 / 社会的連帯 / 共和主義 / 社会経済学 / 社会的排除 / リスク / 友愛 |
Research Abstract |
1 フランス福祉国家思想史 フランス革命から一九一〇年に至るフランス福祉国家成立の思想史を包括的にまとめた、日仏で初めての研究を発表した。(1)フランス革命期から一八三〇年代にかけて、「市民的公共性」の理念や人民主権の理念が、産業化にともなう社会問題の出現によって問い直される過程を、革命中期の共和主義/世紀転換期のイデオローグ/七月王政期の社会経済学、という三つの思想における「公共性」観念の変遷から整理した。(2)1830年代に社会問題が生じて以降、自由主義と社会主義の間に唱えられた思想を、「新しい慈善」を唱える保守主義やカトリシズムの「社会経済学」/「友愛」に基づく平等の実質化(=国家の強化)を唱える「共和主義」/社会の自発的相互依存(「連帯」)に基づいて、中間集団の自治と限定的な国家介入を唱える「連帯主義」の三つに整理し、これらの対抗関係から、フランス福祉国家成立史を整理した。(3)二十世紀フランス福祉国家が、中間集団自治を唱える社会経済学、国家による社会権保障を唱える連帯主義の対抗関係の中で制度化されたことを明らかにした。 2 現代フランス福祉国家論 共済組合自治を国家が補完するという構造を持つフランス福祉国家の再編論を、「社会的連帯」の問い直し、「社会的排除」論への対応という観点から考察した。(1)現代のフランス福祉国家批判には、国家主義批判、規律社会批判、「新しいリスク」論がある。(2)「新しいリスク」への対応の一つとして導入された社会参入所得制度には、アングロ・サクソンの自由主義とも、北欧諸国の社会民主主義とも異なり、職業参入と社会参入を目標として併置するという特徴が見出せる。(3)中間集団として、従来の労働組合・共済組合に加え、NGOやアソシエーションをどの程度組み込めるかが、今後の福祉国家再編の成否を握る。
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Research Products
(6 results)