2004 Fiscal Year Annual Research Report
英国・ドイツ・日本の経済省庁の比較による比較行政学理論の枠組みの構築
Project/Area Number |
15730065
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧原 出 東北大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (00238891)
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Keywords | オーストラリア / 経済財政諮問会議 / 官房 / 行政組織論 |
Research Abstract |
16年度における研究は以下の通りである。 第1に、省庁編成の核となる各省の大臣官房の機能分析である。これについては、行政学における行政組織論の理論的文脈を再検討した上で、日本の行政史を明治期から現在まで俯瞰した上で、「官房」の組織再編を下に機能の変容を分析した。その成果は論文「『官房』の理論とその論理構造」として脱稿した。 第2に、省庁組織論と内閣論との接合である。より具体的には、内閣官房と総理大臣官房、内閣府に焦点を当てて、ここに継続的に出向する官僚集団の特性について歴史的観点から分析を行った。その成果は、論稿「戦後日本における『内閣官僚』の形成」として公刊した。 第3に、2001年以降の改革過程の分析である。これについては、経済財政諮問会議の機能変容に焦点を当てて、資料を収集し、分析を行った。経済財政諮問会議は、森内閣から小泉内閣の交替の際に、担当大臣に竹中平蔵が就任し、経済学者を会議の議員、事務局に糾合することで、従来とは異なる経済政策の決定手続を確立しつつある。これまでほとんど分析の行われていないこの問題についての見取り図を示すことで今後の比較研究の前提作業を終えることが可能となった。 第4に、日本、イギリス、ドイツに対する比較行政の枠組みの構築作業である。これについては、行政組織論の原点であるアメリカ行政学理論の再検討と、1970年代以降のオーストラリアにおける行政改革を契機とする比較行政史の発展過程の追跡とが有効である。とりわけ後者は、英国とアメリカ双方との差異を強調するため、必要に応じてヨーロッパ大陸諸国の理論を参照している。本年度は現地での資料収集を行い、その分析を継続している。 第5に、日本の経済省庁への質問票送付の予備調査である。これについては、近年のクリストファー・フッドの理論のサーベイを行うとともに、実務家との懇談を通じて調査作業の方向性を再検討した。
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Research Products
(2 results)