Research Abstract |
研究機関の初年度に当たる今年度は,主として二つの作業を進めた.第一は,ゲーム理論を用いた政治学における官僚制についての先行研究を整理・検討することである.第二は,先行研究を基盤としながら,筆者自身による,ゲーム理論を用いたフォーマルモデルを行政活動の諸側面について構築していくことである. 第一の作業については,ほぼ初期に予定していた作業を終えた.とはいえ,この分野は,近年,急速に研究の発展が進んでおり,次年度以降にも,最新の研究の動向をフォローする作業を進める必要がある.この作業についての研究成果は,次の第二の作業についてまとまった図書を出版する際に,同時に公表を行うことを,次年度以降に予定している. 第二の作業については,二つの方向で,執筆を進めた.第一は,行政活動の全般について,体系的に分析を行うことである.第二は,最近の政治・行政において注目を集める個別のテーマについて,一つ目の分析を援用しながら,分析を行った.第一の点については,一応の草稿となるものを完成させた.その内容の一部を学会・研究会において口頭報告した.また,図書としての出版を目指して,出版社との交渉を行い,出版の内諾を得た.次年度以降の出版を予定している.第二の点については,行政改革とガバナンスという二つのテーマについて,ゲーム理論を用いた官僚制分析の視点から考察を加え,それぞれ雑誌論文として執筆をした.一つはすでに発表され,もう一つも'2004年5月に発表予定である. 総じて,今年度は,ほぼ当初の予定通りの研究の進展を見たと結論できる.
|