Research Abstract |
昨年度に予定よりも早く,研究成果の根幹部分を単著の図書として刊行(『ゲームとしての官僚制』東京大学出版会,2005年)したため,今年度は,関連する研究成果の公表と,今後の研究の進展に向けての新たな研究課題の展開を主たる目標とした. ゲーム理論を用いた官僚制研究の理論的検討については,上述した図書に加え,そこでは十分に検討することができなかった発展的な問題などについて,雑誌論文において公表を行った. 今後の研究に向けての検討作業としては,理論的な命題の導出を踏まえ,それをいかに経験的データと接合し,実証していくかという問題について検討を行った. 第一に,実験手法という政治学分野では発展途上ではあるが,フォーマルなモデルの検証作業として重要な方法について検討を加え,代表的な研究についての書評を公表した. 第二に,日本の地方政治を題材として,知事と議会の制度配置がいかなる政策を帰結するかについて,フォーマルモデルによる検討を行いつつ,そこから導かれた仮説を知事と議会の党派性についてのデータと財政データを用いることで検証していく作業を,待鳥聡史(京都大学・法学研究科・助教授)と共同で進めた.アメリカ中西部政治学会においてその成果を報告するとともに,日本政治学会の年報において公表を行った. 第三に,日本の中央政府における政権党と官僚制の関係を,審議会に注目しながら検討した.ここでも,フォーマルモデルの構築と計量手法を用いた検証作業を行った.これについては,日本公共選択学会ならびに日本政治学会において,成果を報告した.
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