2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15730072
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 覚 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (60359867)
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Keywords | サウディアラビア / ワッハーブ / イスラーム的リベラル派 / 地方選挙 / 中道 |
Research Abstract |
二年目となる平成16年度は、サウディアラビアにおいて新たな政治勢力として浮上しつつある「イスラーム的リベラル派」に焦点を合わせ、体制との関係や、イスラーム的保守派(ワッハーブ主義)との関係などを考察した。またサウディアラビアで国政レベルと地方レベルを通じて初となる地方選挙を視察した。サウディアラビアでは、テロ対策の強化や、地方選挙の準備や実施の過程を通じ、中道的政治勢力が政治の表舞台に姿を現し始めた。またこの機会に乗じ、イスラーム的リベラル派は、イスラーム保守派を抑制し、政治や行政での影響力をじわりと高め始めている。 二年目となる平成16年度は、インターネットを通じた日々の情報収集のみではなく、国外との研究ネットワークづくりにも成果をあげた。国内では、若手サウディアラビア研究者や現地経験者との意見交換を繰り返すことができた。国外出張では、サウディアラビアと英国を訪問したが、リヤドでは、サウディアラビア人の政治学、社会学、歴史学、ジェンダー学の中堅研究者と今後の研究協力関係の構築に関して、合意を取り付けることができた。 また英国では、英国人や亡命サウジ人のサウディアラビア研究者や比較政治学者などとコンタクトポイントを確立することができ、今後、研究協力のために必要な連絡をとることが可能となった。さっそく英国人研究者T.Niblock教授から、彼の研究の草稿が送付されてきた。 二年目の研究成果を総括すると、一年目の研究成果を引き継いで調査と考察を続けたところ、イスラーム保守派が次第に勢力を喪失しつつあり、世界ではまだ着目されていないが、中道勢力やイスラーム的リベラル派が次第に政治や社会の中心勢力となる兆しを見せつつあるという、意外な発見をすることができた。またサウディアラビアと英国、さらに国内では、今後、サウディアラビア研究に関して効果的な人的ネットワークを強化するための新しい関係をつくることができた。
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Research Products
(1 results)