2003 Fiscal Year Annual Research Report
労動市場の需給決定に関するマクロ非線形計量経済モデルの構築とその実証研究
Project/Area Number |
15730100
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
寺坂 崇宏 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (60313920)
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Keywords | Box-Cox変換 / 定常時系列モデル / 時系列モデルの推定 / 攪乱項 / 正規性 |
Research Abstract |
労働市場のミスマッチを考慮した不均衡計量経済モデルを提案するにあたり、モデルを時系列的に拡張する際に有用と考えられるモデルの攪乱項部分の扱い方に関する成果を、学会報告という形で発表した。この成果は労働市場の分析のみならず、一般的な時系列モデルにおける成果でもある。成果の内容は、定常時系列モデルをデータ系列に適用する際に、系列をBox-Cox変換してARMAモデルの次数、係数を推定するアルゴリズムを考案し、実際の経済データにモデルを適用したことである。変数系列をBox-Cox変換することは、モデルの攪乱項部分の正規性を比較的簡便な方法で保持させる目的がある。提案したアルゴリズムは、Hannan, E.J. and Rissanen, J の提案した3段階法による定常時系列モデルの推定方法をもとにしているが、データ系列に最も適する変数変換のパラメータの値をARMAモデルの係数の値と同時に推定させるところに特徴がある。シミュレーションによるモデルの評価では次数、係数、変換の係数の推定および攪乱項の正規性について、いずれも良好な結果を得た。またモデルの経済データへの適用として、日本のコールレートとTOPIXのレベルデータの2変量ARMAモデルを推計した。推計の結果、TOPIXにおける変換の変数について1を超える値が推計され、従来の研究ではみられない特徴が出ていると言える。さらに試みとして、変換の変数についての仮説検定をDavidson and MacKinnonの議論に沿って実施した。帰無仮説として変換の変数の値が0、対立仮説がそれ以外の任意の値として尤度比検定を適用した。成果は日本統計学会2003年度第71回大会で、「Box-Cox変換を伴う多変量時系列モデルの統計的推測とその応用」(東北大学大学院経済学研究科細谷雄三と共同)、および2003年度日本経済学会秋季大会で「Box-Cox変数変換を含む多変量ARMAモデルの推定とその応用」のタイトルで発表した。
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