2003 Fiscal Year Annual Research Report
国際貿易の自由化におけるフェア・トレードの効果に関する研究
Project/Area Number |
15730111
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
神事 直人 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 講師 (60345452)
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Keywords | フェア・トレード / 貿易自由化 / 森林認証 / オールターナティブ・トレード |
Research Abstract |
本年度の研究実績の概要は以下の通りである. (1)関連する主要文献をサーベイして文献リストを作成すると共に,フェア・トレードの現状に関する情報収集を行った.特に,Fair Trade Federation(米国),European Fair Trade Association(オランダ),Max Havelaar(オランダ),トランスフェア・ジャパン(東京)等の主要団体からフェア・トレードに関する基礎データを収集することができた.それらによれば,例えば,フェア・トレード商品の年間総売上高が,米国とカナダでは1.8億ドル(2002年),欧州18ヵ国では1.2億ユーロ(1999〜2000年)であった.また,欧州においてフェア・トレード商品(品目:コーヒー,紅茶,バナナ)の市場シェアが2%以上の国としては,スイス,ドイツ,オランダ,ルクセンブルク,デンマークなどが挙げられる.欧州や北米を中心として近年フェア・トレードが拡大していることが伺われる. (2)理論分析として,特に森林資源に着目して分析を行った.具体的には,森林資源の貿易自由化が森林ストックに与える影響と,持続可能な森林開発をフェア・トレードのもとで達成することを目的とした森林認証制度等の効果について分析を行い,貿易自由化が必ずしも森林破壊を促進するとは限らないこと,また逆に森林認証制度等の政策が森林破壊につながる恐れがあることなどを理論的に示すことができた.これらの点についてさらなる分析を行う必要があると考えられるが,これまでに得られた結果を論文にまとめ,第62回日本国際経済学会(京都大学)およびMidwest International Economics meeting(インディアナ大学)において研究報告を行った.さらに査読付学術専門誌に投稿し,現在審査中である.
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