2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15730117
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松島 法明 信州大学, 経済学部, 助教授 (80334879)
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Keywords | 製品差別化 / 立地モデル / ホテリング / 混合市場 / 公企業 / 地域科学 |
Research Abstract |
公企業と私企業が同じ市場で競争する市場(混合寡占市場)を、製品差別化・特化を考慮した理論モデルを用いて分析することを主な目的として研究を行った。 この目的と直接つながる研究として、ホテリングモデルを用いて製品差別化を表現し、公企業と私企業の費用削減投資の効果を分析した、Economica誌に掲載された論文を拡張した論文がある(投稿中)。この論文では、市場の競争度が増すにつれて、公企業の役割がどのように変化するか考えている。この結果、元の論文と同様に公企業は非効率的になることが示されたが、競争度が増すにつれて、公企業の存在による厚生改善効果が発揮されるという結果を得た。これは、公企業には、私企業の間における費用削減競争を促進する役割があることに起因している。現在、ホテリングモデルではなく、Singh and Vives(1984,RAND J. Of Econ.)による製品差別化を取り込んだ需要関数を用いて、同様の分析を行っている。この分析によって、最終財市場における競争構造(戦略補完、戦略代替)や差別化の程度によって大きく結果が異なることがわかっている。例えば、戦略代替性がある場合、差別化の程度が中庸な場合に民営化により厚生が改善されることがわかっている。この内容は、来年度も継続して行う。 ホテリングモデルを用いて製品差別化を表現し、川上企業の持っている部品加工技術の程度によって、川下企業の差別化戦略がどの様な影響を受けるか分析した。これは、IJIO誌に掲載された。この分析の結果、川上企業の加工技術が低い場合、製品差別化の程度が弱くなることが示された。これは、現実の自動車産業において、自社に相応しい部品が調達し難い場合に製品差別化の程度を弱めているという事実を捉えている。
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Research Products
(4 results)