2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15730118
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀧井 克也 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 助教授 (70346138)
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Keywords | 予測能力 / 適応力 / 企業家的行動 / 拡張的財政政策 / 効率性 / 生産性 / 調整費用 / 企業成長 |
Research Abstract |
企業の環境の変化に対する適応力や将来予測能力が、社会全体にどのように影響を与えるのかを分析した。また、その発展として、環境の変化に瞬時に適応できない理由となる調整費用のミクロ的基礎づけにも現在取り組んでいる。 「Fiscal Policy and Entrepreneurship」というDiscussion Paperを5月に書き上げ、Econometric Societyをはじめ国内外6回発表をおこなった。現在、雑誌に投稿中である。そこにおいては、政府の財政拡張政策が民間消費を部分的にであれクラウディングアウトする際、企業家的行動を明示的に取り上げることが、どのように政策の結果に影響を与えるのかを分析している。企業家的行動とは、環境の変化を予測し、その変化に適応していく活動と定義する。企業家的行動の存在するもとでは財政拡張政策がGDPを引き上げる効果が少なくなることを理論的に導き出した。財政拡張政策が民間消費の減少を伴うときには、拡張的財政政策はGDPの構成要素としての民間消費と財政支出の比率を変化させる。民間消費は消費者の様々な好みの変化を反映するが、政府支出は消費者の好みの変化に対する情報の不足のため、その変化を反映することはできない。そのことは消費者の好みの変化を予測し適応していくという企業家的行動の社会的役割を弱める。そのため拡張的財政政策がGDPに与える負の影響が大きくなるのである。 昨年度執筆した「Entrepreneurial Efficiency」というDiscussion Paperを改良し、2つにわけ、「Entrepreneurial Efficiency : Theory」と「Entrepreneurial Efficiency : An Empirical Framework and Evidence」として新たな2つのDiscussion Paperを執筆した。そこにおいては、理論、実証の両面において、昨年度の論文がより精緻化されている。 現在、調整費用のミクロ的基礎付けをおこない、環境の変化への適応が困難な理由の一つの理論的解明を行う作業に取り組んでいる。
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Research Products
(3 results)