2004 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニケーションネットワークと国際貿易の相互依存関係についての理論実証研究
Project/Area Number |
15730135
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
菊地 徹 神戸大学, 経済学研究科, 助教授 (40263363)
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Keywords | ネットワーク / 国際貿易 |
Research Abstract |
本研究では,インターネット・通信衛星・携帯電話などといった新たなタイプのコミュニケーションネットワークが,国際的な貿易パターンに与える影響を理論的・実証的に分析することを目的としている。まず,既存の貿易モデルに関する文献サーベイを行った結果,独占的競争の貿易モデルと,ネットワーク外部性を導入したモデルの利用が有効であるとの結論を得た。そこで,コミュニケーション部門を導入した独占的競争の貿易モデル構築を目指すと同時に,「ネットワークと国際貿易」のテーマで先駆的な研究を行っているRichard Harrisサイモンフレーザー大教授(カナダ,バンクーバー)を訪問し,このテーマに関するディスカッションを行った。教授からは,ネットワークを通じたサービス取引の増大,特に「仮想的な生産要素移動(Virtual Factor Movement)」といった点を取り入れたモデル構築の重要性を示唆された。こうした経過をへて,幾つかの理論的貿易モデルを構築し,国際的なレフリー付き学術雑誌に投稿・審査をうけた。そのの幾つかのものは,カナダ経済学会の機関誌であるCanadian Journal of Economicsや西部アメリカ学会の機関誌であるQuarterly Journal of Economics and Financeなどの審査を通過し,掲載が決定している。また,Western Economic Association Annual Meeting (2004.7.2)において,この研究経過の一部を報告したところ,カナダの国際経済学者数人から非常によい反応を得た。この研究のもう一つの課題である実証分析は,データのセットを完了し,ネットワーク効果が貿易パターンに与える影響を取り扱った実証論文の投稿準備中である。今後とも,この研究の流れを生かし,理論実証両面からネットワーク産業と国際貿易の関連性を分析していきたい所存である。
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Research Products
(2 results)