2003 Fiscal Year Annual Research Report
グローバルな空間的分業と産業集積に関する経済地理学的研究
Project/Area Number |
15730141
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
長尾 謙吉 大阪市立大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (50301429)
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Keywords | 経済地理学 / 空間経済学 / 産業集積 / 企業間ネットワーク / 生産規模 / 地域労働市場 / 自動車産業 / 日系企業 |
Research Abstract |
産業集積は、もともと研究対象としてきた経済地理学や地域科学のみならず広く社会科学の研究者に関心をもたれるようになってきている。様々な視点からの国内外での研究をレビューすると、アルフレッド・マーシャルの視点を再評価しつつ、その一部を分析してみたものが多いことがわかった。グローバルな空間的分業が形成されるもとで産業集積が再編しつつも意義を高めていることについて、説得力のある枠組みから解明されなければならない。本研究では、その一つの試みとして、関係性資産という観点から産業集積と現代世界の経済地理を捉えなおしている。本年は学会や研究会の機会を通して、アメリカ合衆国やカナダを拠点とする研究者と討論する機会を積極的に持ち、研究視角をめぐって意見交換して方法論の検討を深めてきた。 具体的な第一の課題である日本的生産システムと産業集積との関わりについては、北米の研究者がジャスト・イン・タイム・システムを中心に直線的な移転論を展開していることを批判しつつ、生産規模、取引関係、取引以外の企業間関係、地域労働市場を含めた分析を行った。平成16年度上半期には、カナダの大学出版会から出版される単行本に所収される論文として提出する予定である。さらに、日本人三名の共著による英語論文の執筆を進めている。 第二の課題である大都市圏経済と産業集積との関わりについては、研究代表者によるこれまでの研究を上記の方法論的視座から見直しつつ、大都市圏の再編に位置づける仕事を行ってきた。アメリカ合衆国の学会誌への共著論文の再投稿、日本の学会誌の英文特集号の企画と共著論文の投稿、さらに産業集積と大都市圏経済に関する著書出版を予定して研究を進めている。
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